JR北海道 キハ183系 リゾート特急
「ノースレインボーエクスプレス」

 
 
最盛期には6編成での戦線布陣を誇ったJR北海道の「リゾート特急」ファミリー。
そのファミリーの末っ子が、2階建て車とハイデッカー車で組成された「ノースレインボーエクスプレス」です。
展望席やラウンジなど「リゾート特急」らしい車内設備に、一般特急車のような「平凡さ」も味に含んだアコモが特徴。
年間を通して、幹線の定期特急の合間を補完するような臨時列車に投入されています。



普通車

編成ド真ん中の「ダブルデッカー車」以外は、オールハイデッカーで構成される客室。
座席に腰掛けると、予想以上の「目線の高さ」に驚きます。
着座状態での地上からの目線の高さは3メートルにもなり、側面窓の大きさとも相俟って「2階席」並みの迫力があります。

車内はパステルピンクのモケット柄を纏った座席が並び、なんともファンタジーな雰囲気。
シートピッチは一般特急並みの960mmとなっており、座席の掛け心地も「可もなく・不可もなく」といったところで、
あまり「リゾート特急」らしいスペシャリティさが感じられません。
背中から腰部分にかけてのホールド感とフィット感はかなり高得点ですが、
両脇のアームレストの位置がやや低めの設定で、両腕を載せるとなんだか妙に肩がギクシャクします。
もうちょっとリンクライニング量が深ければ、このアームレストの低さがピッタリだったのでしょうが・・・

晴れた昼間の走行時は車内が大変明るいようですが、画像のように天気の悪い夕方だとかなり車内は薄暗く、
照明カバーをもっと薄めのものにするか、照度アップをさせるかしたほうが良いように感じました。
天井には天窓があるため、 読書灯が装備されていません。

北海道の「リゾート特急」というと、全ての座席背面にパーソナルモニターが装備されているイメージがありますが、
この「ノースレインボーエクスプレス」では最初からパーソナルモニターを装備しておらず、
客室数箇所に天井から17インチ大の映像モニターをぶら下げています。
臨時特急での運用時でも、映画放映や運転席からの展望中継が行われています。



先頭車1A〜D席はパノラマ席となり、運転席を介しているものの良好な前展望が楽しめます。
運転席と客席の間には簡単なアクリルパーテーションがあるだけなので、運転士さんの様子も丸見え。

全席にオーディオパネルを装備しており、チューブ式のイヤホンが各席に準備されています。
北海道のディーゼル特急グリーン席と同じく、複数のチャンネルが用意されています。

天井の荷物棚は「ハットラック」並みの収納力で、旅行バッグの大きさになると入りません。
窓を大きくして天窓も設けて眺望の良さを高めた結果ですので、大きな荷物は後述のバゲージコーナーへ収納しましょう。
窓側席の足元には、ちょっとした小さなカバンが置ける程度の荷物置きが設置されています。
天井荷物棚の収納量を補完するためだとは思いますが、このシートピッチではやっぱり足元に圧迫感を感じさせます。



1号車と5号車の「3番」席は、ちょうど床下ディーゼル機器の排煙口が車内を突き抜ける位置にあるので窓がありません。
完全な1人掛けでプライベート感はあるのですが、雄大な北海道の眺めが楽しめないのは、やっぱりハズレ席ですよね。

おそらくマルス上では、リクエストしない限りは販売されないブロック席になっているかと思われます。



3号車はダブルデッカー車両になっていて、2階席が客席になっています。
姉貴分の「クリスタルエクスプレス」の2階建て車は、2階がセミコンパートシートになっていますが、
こちら「ノースレインボー」の2階は、ほかの車両と同じ座席が並ぶ一般客室。

大きな側窓と天窓で開放感のあるハイデッカー車に比べると、2階席はかなり閉塞的な雰囲気で、
同じインテリアでもっても、まるで別の列車の如くに違うかのようです。

ちなみに臨時特急に投入される時は、この2階席は「自由席」となることが多いようです。







ラウンジコーナー

2階建車両の1階はラウンジスペースになっています。

通路を片側に寄せ、ゆったりしたソファーを大きく配置。
ソファー、そして通路側のスタンドクッションバーを車体断面の絞込みがかかる部分に配置しているためか、
ロアーデッキにありがちな、視覚的な閉塞感があまり感じられません。
AV機器ももちろん積んでおり、団体列車利用時のパーティにも対応できるようになっています。

ラウンジスペースの一角にはギャレーが設けられています。
流し台シンクはもちろん、コーヒーメーカーに電子レンジ、大型冷蔵庫まで備えていて
その気になれば「プチ・ビュッフェ」としても機能しそうなのですが、ステンレスがピッカピカなのを見ると
このスペースが使われた形跡はほとんどないようです。







サニタリー  バゲージスペース  デッキ  運転席
    
    
    

サニタリースペースは、奇数号車のデッキに設置されています。
洗面台はブラックを基調にした、とてもシックは雰囲気。トイレは全て洋式となっており、自動巻取りの便座カバー装置を備えています。

客室がハイデッカー・ダブルデッカー仕様のため、客室内の荷物収納スペースが大変少ないこの列車。
そのため、各車両とも客室内のデッキアプローチ部分にかなり大型のバゲージスペースが設置されています。
「ノースレインボー」では、デッキ仕切りドアの内側、つまり客室内に設置されていて利用する側も安心です。
荷物棚は折り畳み収納が可能で、スキー板やスノーボードなどの大きな荷物にも対応できる構造になっています。

ハイデッカー客室へのアプローチ部は全て階段になっていて、スロープ状になっている車両はありません。
そのため「ノースレインボー」には、車椅子対応席が未設置となっています。
乗降ドア部にはさりげなく道内の風景写真が飾られていて、照明はスポット照明になっています。
ホームから車内に足を踏み入れた瞬間に、いつもの列車とは「一味違う」演出に気が付くことでしょう。
電話コーナーは3号車のデッキ部分に。ドアで仕切られた「個室タイプ」になっています。

展望席からは運転席の様子がよく見えます。
この展望席もハイデッカーの高さになるのですが、前面窓がかなり巨大なので前展望の眺めは迫力満点。
運転席を介しての展望席というのは、しばしばその展望に悪さにストレスを感じることがありますが、
この「ノースレインボー」に関しては、縦方向の金属ポールがやや目障りながら、かなり良好な展望が楽しめます。





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