1989年12月から営業運転を開始した、JR北海道5作目のリゾート特急。 設計と製作はJR北海道の苗穂工場、車両構体の製作は新日本製鉄・室蘭工場が担当した生粋の「道産子」特急。 「北の大地は全周視界」をテーマに、全ての車両が天井にまで回りこむ巨大窓となっているのが特徴。 登場当時は3両編成でしたが、翌1990年12月には気動車初の2階建て車両を組み込んで4両編成になりました。 これによって個室やセミコンパートメント席、ビュッフェ、ラウンジなど多彩な車内設備を誇る編成に成長し、 JR北海道のリゾート特急の中でも、最も見どころの多い列車となっています。 夏や秋には主に富良野方面の臨時特急に、冬にはトマム方面へのスキートレインとして活躍しています。 |
両端先頭車の1号車と4号車はハイデッカー車両。 床面の高さは300mm嵩上げされていて、デッキから客室に入るにも数段の階段を上がって入るほどの高さです。 窓は車両天井肩部分にまでかかるほどの大きさで、見晴らしはかなりのものです。 その分、頭上の荷物棚は縦方向の余裕があまりなく、大きな荷物はデッキの荷物置き場にどうぞ。 座席はフリーストップリクライニングシート。リクライニングは最大まで倒してもさほどの傾斜ではありません。 座面クッションはかなり柔らかめ。フカフカのクッションに、腰がフンワリ沈んでいきます。 シートピッチは960mm。向かい合わせにするとちょっと足元が狭いかも。普通に座る分には満足な快適さです。 テーブルはインアーム収納タイプのみを装備。背面収納テーブルはありません。 その背面には網ポケット。その上の空いた部分には以前、5インチの液晶テレビモニターが装着されていました。 各席の個別映像モニターはその後撤去され、現在は頭上から吊るされたテレビモニターが客室数箇所に設置されています。 テレビモニターでは主に先頭運転席からの前面展望がリアルタイム中継されるほか、目的地の観光案内ビデオも放映されます。 センターアームレストにはオーディオサービスの操作パネルを設置。 映像放映のビデオ音声のほか、NHKラジオとJR北海道オリジナルBGMチャンネルが楽しめます。 全席にチューブ式のイヤホンが設置されているので、イヤホン持参なしでもオーディオサービスが楽しめます。 もちろん、手持ちの音楽プレイヤーのイヤホンに対応したジャックもあるので、使い慣れたイヤホンも使えます。 窓間にはフックが設置されていて、帽子や上着などを掛けておくことができます。 |
先頭車にはパノラマ席が設置されていましたが、2010年5月に撤去を発表。2010年6月から展望席無しでの運行が始まりました。 これは、2010年1月に函館本線の踏切で発生した特急電車とダンプカーの衝突事故で、先頭部の損傷が激しかったことに伴う措置。 現在は座席の台座らしき物だけが残っており、座席そのものが撤去されている状態となっています。 通路から展望室部分へは立ち入りができないように簡単な仕切り扉が設置されていて「関係者以外は立入禁止」となっています。 展望室と一般客室間には壁などは設置されていないので、1号車なら4番CD席、4号車なら4番AB席からかろうじて前展望が楽しめます。 |
2号車は、1・4号車のハイデッカー車よりもさらに床面が高い「ドームカー」。 その高さたるや、ハイデッカー車の300mm高に対し、なんと900mmという嵩上げ高さ。 しかも、側面の窓が座席肘掛下から車体肩にかかる高さまでのワイドさで、さらに座席頭上に天窓まで設置されています。 座席そのものはハイデッカー車と同じもので、シートピッチも同じく960mmとなっています。 |
3号車にある2階建て車両の1階には、4人用の個室が3室設置されています。 登場当時はグリーン個室でしたが、現在は普通車扱いの個室となっています。 室内は大きめのソファーがテーブルを挟んで向かい合わせで設置されていています。 ソファー間の肘掛は持ち上げて収納が可能。窓側には液晶テレビと各種コントロールパネルが設置されています。 このパネルでは照明を好みの明るさ/暗さにすることができるほか、空調の強弱も好きなように設定することができます。 通路との仕切りドアは鍵を掛けることができるほか、ドアの縦長の窓はスイッチ1つでスモークガラスとなります。 個室外には寝台特急の個室のようなロックシステムのパネルが設置されているので、カードキーによる施錠が可能のよう。 デッキ近くにはこのカードキーで利用できると思われるロッカーが3室分設置されています。 |
2階建て車両の2階はボックス席を配置したセミコンパートメントとなっています。 ソファーの背もたれがとても高く、ソファーそのものが個室仕切りとして機能しています。 ソファー間のテーブルはかなり大きいので、グループで飲食やカードゲームを楽しむことができそう。 ソファーの腰部分は手前に開けることができ、中に荷物を収納することができます。 (さほど大きな空間ではないので、大した荷物は収められなさそうです) 季節特急として運転される際、自由席の設定があるときはこのボックス席が自由席として設定されることが多いようです。 |
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2階建車両の2階客室半分と4号車寄りの車端部にはラウンジスペースがあります。 ラウンジスペースそばにはギャレイを備えたビュッフェスペースも併設。 中を見てみると、流し台にコーヒーメーカーに冷蔵庫に電子レンジと一通りの設備が整っています。 ただ、ビュッフェ営業として使われるようなことはほとんどないようです。 |
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サニタリースペースは、両先頭車のデッキに設置されています。 トイレは全て洋式となっており、男性用の小用個室も別に併設されています。 客室がハイデッカー・ダブルデッカー仕様のため、客室内の荷物収納スペースが大変少ないこの列車。 そのため、各車両とも客室内のデッキアプローチ部分にかなり大型のバゲージスペースが設置されています。 一部荷物棚は折り畳み収納が可能で、スキー板やスノーボードなどの大きな荷物にも対応できる構造になっています。 ドリンクの自動販売機は2号車に設置。その隣りには電話コーナーがありましたが、現在は撤去されています。 |