スターフライヤー AIRBUS A320

 

ライト兄弟が「フライヤー」号で人類初の有人飛行に成功した日からちょうど100年。
そんな記念すべき日に設立された新興エアラインは、その日にちなんで「スターフライヤー」と名付けられました。

そして2006年3月16日。新しい北九州空港の開港と同時に「スターフライヤー」はデビュー。
「母なる彗星−マザーコメット」をグランドコンセプトに敷き、内外装ともに驚きの戦略を仕掛けてきました。
「デザイン・エアライン」とでも呼ぶべき徹底した統一感は、大手航空2社を含めても日本初のもの。
新興航空会社の「詰め込み搭乗=低価格」の公式を崩す、低料金で提供されるゆとりある空間も話題となりました。

この国のドメス・ラインでは未だかつて見たこともない空間が、新たなエアステージを拓こうとしています。






エコノミークラス


「白と黒」
ここまで明確なコントラストを描く公共移動空間は、航空・鉄道・バス全社を含めても初めてのものではないでしょうか。
この2色は、言うまでもなく「スターフライヤー」が掲げる「マザーコメット」コンセプトのテーマカラーです。
精悍な中にも上品さが溢れる白黒の旅客機に乗り込むと・・・・そこもまた精悍かつ気品のある白黒の空間。
テーマカラーのブルーを織り込んだ空間にこだわっている全日空をも超える、美しい統一感です。

客室構成は、センターアイルに全列が3+3の6アブレストの設定。
A320では170席配置が基本のところを、シートピッチを広げるためにスターフライヤーは144席の配置としています。
他社の国内線普通席のピッチが平均780mmのところを、スターフライヤーではなんと平均910mmまでに拡大。
これはJRの新型特急の最も狭いピッチ数値と同じで、旅客機の普通席としては異例の広さです。
(1番列のみ壁と対面となることから940mmを確保し、この数値は日本国内線普通席の通常ピッチの最大数値)

座席は全席ブラックレザーで、質感も雰囲気も上々。革の鈍い輝きがこれまた豪華さを醸し出しています。
JR九州885系の革製シートの「滑り感」が脳裏を横切るのですが、スターフライヤーのシートはホールド感たっぷり。
かなり張りのあるシートなので「柔らかい」とはお世辞にも言えませんが、ほど良い硬さが疲れを感じさせません。

ヘッドレストは利用者の身長に合わせて上下に可動。ウィング式に頭を支える機能も持っています。
このヘッド部分が別パーツになっていて、これが座面・バックレストとのバランスを若干崩してしまっています。
「腰と背中の支え感と、頭のバランスがちょっと・・・・」と感じる利用者も多いのではないでしょうか。

3列席の真ん中の席は、バックレストを手前に引き出して「センターテーブル」とすることができます。
窓側(通路側)の人との距離感を出せ、独立感が高められるのはもちろん、ちょっとした小物置きにも利用可能。
真ん中の席が空いていれば誰でも利用することができ、特にキャビンアテンダントへの申し出も必要ありません。



座席背面にはテーブルのほかにカップホルダーも別に用意。
テーブルに書類やパソコンを広げた際に、飲み物の置き場に困らないように・・・という配慮からです。
(ちなみにホルダーに収まるのは機内サービスのカップのみ。持ち込みのペットボトルなどはホルダーに入りません。)

足元にはバータイプのフットレストが装備されています。
フットレストにはゴツゴツした凹凸が付けられていて、これが足裏のツボを刺激するマッサージ機能を持っています。
ただ、そうした利用法が分かりにくいためか、靴のまま足を載せてしまっている人が多いのが現状のようです。

最近はドリンクサービスを一部の時間帯の便だけに限定したり、サービス自体を廃止したエアラインもありますが、
スターフライヤーでは、同社こだわりのドリンクサービスが全便で行われています。
一番話題を呼んだのがアメリカ・シアトルの「タリーズコーヒー」をメニューに搭載したことでしょうか。
ドリンクサービスの際には、スターフライヤーのロゴ入りチョコレートも提供されています。

全席のパーソナル電源コンセントが装備されているのも大きな特徴。
座面裏側にちょっと目をやると、緑色のランプがついている小さな黒い箱状のものがあります。これが電源口。
機内でのパソコン・携帯電話・携帯音楽プレイヤーなどの充電に、誰でも無料で利用できます。



左から 「現在飛行位置表示」 「現在の飛行状況データ」 「NHKニュース」 「海外ニュース(BBC)」 「ゴルフ専門チャンネル」 「スターフライヤー・イメージチャンネル」 「操作ヘルプ画面」

スターフライヤーの数々のサービスで、最も注目を集めたのが全席装備のパーソナルモニターではないでしょうか。
かつての「日本エアシステム」がボーイング777を導入した際に「全席モニター装備」の偉業を成し遂げていますが、
新興エアラインがデビューと同時にこの離れ業をやってのけたことに驚かれた人も多いのでは?

モニターはタッチセンサー式になっていて、好みのチャンネルをいとも簡単にパッパッと切り変えることができます。
操作パネルもアームレストに装備されていますが、モニタタッチによる利便性の高さは評価に値します。
最初のスタート画面では、[●START] と[○START] が表示され、画面のベースカラーに白か黒を選ぶことが可能。

ちなみに、このモニターの下にはカード読み取り機と思われるスリットが入れられています。
現在のところ、このカード読み取り機を使ったサービスは行われていませんが、
ゆくゆくはもしかすると機内モニターでカード決済できる機内ショッピングなんかができるようになるかも??!








サニタリー ギャレー

ラバトリーは前方1ヶ所、後方2ヶ所の合計3ヶ所に配置。
客室のコントラストの比べ、こちらはおとなしめに白一色。逆に個室内が「真っ黒」っていうラバトリーでも面白かったかも?

ギャレーはコンテナが抜けたスカスカな状態。
現在はドリンクの搭載だけに留まっていますが、同社では日本と中国・韓国を結ぶ短距離国際線運航も目標視野に入れており、
将来、このギャレーにミールコンテナが満載される日が来るかもしれません。









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