日本航空 Boeing777-300ER

 

日本航空にB777-300ERが就航したのは、2004年7月1日。成田〜シンガポール線でデビューを飾りました。
長距離飛行の航続性能を有するER型は、最初からロングフライトに適した客室設備を備えて登場。
ファーストクラスには「ニュースカイスリーパー・ソロ」、エグゼクティブクラスには「シェルフラットシート」を搭載。
また、機内インターネット接続サービスに「コネクション・バイ・ボーイング」も用意されました。

その後、順調に機体数を増やして、路線もロンドン線・フランクフルト線・パリ線・ニューヨーク線と欧米主要路線に就航。
フラッグシップであったB747-400が飛んだ「国際線主力路線」の舞台へ、今は主役として華やかな活躍を魅せています。


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ここで紹介する画像は、国内線の成田−伊丹に投入されている便で撮影しました。
厳密には、正式な国際線仕様で誂えたキャビンとは差異があります。あらかじめご了承いただいた上でご覧下さいませ。
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JAL First class SKY SLEEPR SOLO

2001年12月、B747-400で登場した新しいファーストクラスサービス「ニュースカイスリーパー・ソロ」。
それまでの感覚を完全に覆してしまうような未来的なデザインの座席は、キャビンの雰囲気も一新。
この座席を備えた機体は、当時は成田〜ニューヨーク線のみに専従投入されました。

B777-300ERではこの座席を初号機から搭載しており、この新しいファーストクラスサービスの路線を拡充させました。
(2008年12月就航の8号機・JA738Jからは、さらに進化した新ファーストクラス「JALスイート」の搭載を開始しています)

まずキャビンに入って驚くのが、曲線美の世界。「座席」・・・というより「カプセル」のような球体が並んでいるように見えます。
背面から見るとその印象はさらに強く、2列目・3列目の座席に着席してキャビン全体を眺めると、飛行機内とは思えない感覚に。
そして座席単体で見ても、柔らかなレザーのアイボリーとクールな輝きを放つ框体の組み合わせがなんとも不思議なマッチング。
キャビン内の配置は、1+1+1で3列配置。9席全てが1人掛け。
サイドパーテーション側の違いによって交互に座席が配置されており、位置によっては通路を挟んで2人の距離が近い席もあります。

席に着くと、その曲線デザインの座席に「包まれる」ような感覚に。
レザーシートは心地よい「固さ」と「柔らかさ」の絶妙さがに感じられ、その風合いも肌に触れる感触が気持ちよいほど。
サイドから回りこむパーテーション部分が、1人掛け座席に更に「個」の空間を演出し守ってくれる感じがします。
サイドランプを灯せば自分の空間だけを優しく照らし、空間全体の丸さにも気分が高揚してくるようです。
コントローラーや操作パネルは、手元の無理のない位置に配置され、曲面に設置されているのも使いやすさを感じます。

座席デザインはロス・ラブグローブ氏。AppleコンピューターやSONYのデザイナーとしても名を馳せたインダストリアルデザイナーで、
航空界ではこのJALのほか、英国航空でもシートデザインを担当しています。
同氏はこの座席をオーガニック(=自然界の持つ本来の美しさ)からデザインを展開、
「大空を飛ぶようなデザインの自然な感触、大きく広がる夢のようなものを感じてもらいたい」とコメントしています。

座席製造は小糸工業が担当。この座席は2002年度グッドデザイン賞を受賞しています。
(2008年6月に初代「スカイスリーパー・ソロ」は淘汰されたため、この座席が「スカイスリーパー・ソロ」に名称変更しています)



  フルフラット状態。ヘッド部分が若干持ち上がった状態ではあるが、ほとんどベッドと変わらない体勢が取れる。
  フルフラットのサイズは、幅66センチ・長さ185センチ。体格の良い成人男性が寝ても、充分な大きさを誇る。
  ベッド時に足先の空間を確保するため、前の席のバックシェルは片側が大きく削ぎ落とされている。
  この部分の下部には、靴をしまっておけるシューズボックスが設置されている。
  座席背面はこのような球体のシェルで覆われており、色合いともあいまってどことなく「生物」的な佇まい。
  リクライニング時には、シェル部分がこのように割れて座席部分が若干後方に倒れるようになっている。
  シートテレビは収納式。座席サイドにきれいに収納されているが、若干取り出しがし難くコツが必要。
  液晶画面は今の時代にはコンパクトな大きさ。実はエグゼクティブクラスのほうが画面がが大きい。
  サイドテーブルはオレンジ色で、この座席のワンポイントとなる色彩に。この色がライトの明かりに良く映える。
  曲面構成が優雅な雰囲気。このテーブルを手前に引くとテーブル下から小物収納スペースが現れる。
  座席脇のスクリーン部分にはサイドランプ。ライトグリーンの淡い光が夜間には座席をほのかに照らす。
  「読書灯を必要としないまでも、明るさが欲しい」という時には、落ち着いた明かりを得ることができる。
  ヘッドレストには上下に高さ調節が可能なピローを装備。
  読書灯はヘッドレスト部分にビルトイン。左右上下に動かすことがで。照らした居場所を任意に操作できる。
  リクライニング時には反対側にも読書灯が現れるほか、荷物棚下の従来型の読書灯も装備している。
  ダイニングテーブルはアームレストから引き出す収納式。折り畳式ではなく、一枚構成の大型テーブル。
  サイドテーブルとその下から出すテーブルサポートタブと組み合わせて使う。
  コントローラーは近年よく見られる汎用タイプ。裏面はカード決済専用の電話になっている。
  機内エンターテイメントシステムは「MAGIC III」。(2009年2月現在/国内線運行時はMAGICはサービス停止)
  リクライニング・フルフラットなどのコントロールパネル。一目でどこが動くかなどが分かり、使いやすい。
  ランバー部分にはマッサージ機能が付いていて、「M」ボタンでいつでもマッサージが起動できる。
  足元脇には引き出し式のマガジンボックス。機内誌や座席説明書はすべてここに収納されている。
  けっこう収納力があるので、機内に持ち込んだ雑誌や機内配布のアメニティキットなどはここに入れておける。
  マガジンボックスの脇にはパソコン用の電源ポート。2・3ピンプラグが使え、110V・60Hz・最大75Wまで利用可能。
  CCB(コネクション・バイ・ボーイング)のサービス終了に伴い、現在は機内インターネット接続はできなくなっている。
  座席の表面を覆う革素材は、イタリアのレザーメーカー「ポルトロナ・フラウ」社の製品を採用。。
  張りのある革素材で、クッションのような柔らかさとは違った、落ち着きあるホールド感と柔らかさがある。
  ファーストクラスは機内最前方・Aコンパートメントに展開。
  この客室前方のポートサイドには小さなバーコーナーが設置されている。









JAL Exective class Shell Flat Seat

Bコンパートメントのエグゼクティブクラス「SEASONS」ゾーンには、「シェルフラットシート」を搭載。
こちらは2002年7月に、やはり当時B747-400からサービスが開始され、成田−ロンドン線でデビューを飾りました。
座席全体が貝殻に包まれているようなデザインは、2003年度のグッドデザインを受賞しています。

曲線が強調された背面のシェル部分が、機内全体にズラリと並んだ光景は壮観そのもの。
流行の木目調などは一切使わず、モノトーンで統一された機内の色調は都会的なクールさを醸し出しています。
座席配置は最前列から最後列まで、全列2+3+2配置。シートピッチは最大で約157センチ。座席幅は約59センチ。
背面のシェル部分はリクライニング・フルフラット時にも動かないので、前の席が倒れてくることによる圧迫感が全くありません。

座席をフルフラットに展開させた状態では、斜めに傾斜した状態で平らになる「ライフラット」になります。
時をほぼ同じくして登場した全日空の「CLUB ANA」のシートと比べると、足元の傾斜がやや緩く感じられましたが、
身体から頭部分にかけてのフラット感は、「CLUB ANA」のほうがより平面に近い感じを受けました。
フラット時には操作パネルのあるアームレストも同時に沈み込み、寝た状態からの操作も楽なものになっています。
また、このアームレストの沈み込みによりベッド幅が広がり、睡眠時により広い空間が確保できるようにもなっています。


  シートテレビは10.4インチの液晶モニター。最前列の席は肘掛け先端からモニターを取り出す収納式。
  シートコントロールパネルはアームレストの先端に。リクライニングからフラット状態までボタン1つで操作。
  アイコンの腰部分のボタンはマッサージではなくランバーサポート。
  テーブルは座席の内側からフタを開けて引き出す。折り畳み式で片面のみを小さく展開させることも可能。
  展開させた後のテーブルはさらに手前へと引き寄せることもできる。
  ヘッドレスト部分は上下に高さ調節が可能。両脇をウィング状に起こして、頭を支えることもできる。
  座席背面のモニター下にはリテラチャーポケット。例としてペットボトルを入れてあるが、全体まで入らない。
  意外と口が大きく開かず、中も浅いのでポケットに差し込んでおけるものと用途が限られてしまう。
  マガジンポケットは前方座席の間に。機内誌・機内販売カタログ・座席説明シートなどがギッシリ入っている。
  そのため、持込の雑誌などはここに入れる余裕が無い。
  センターアームレストの先端にはカクテルテーブル。
  センターアムレストの内側。コントローラーの下はヘッドフォンジャックと小物が収納できるスペースがある。
  さらにその奥にパソコン用の電源が設置されている。
  コントローラーは近年よく見られる汎用タイプ。裏面はカード決済専用の電話になっている。
  機内エンターテイメントシステムは「MAGIC III」。(2009年2月現在/国内線運行時はMAGICはサービス停止)
  読書灯は座席間から伸びたアーム部分の先端に。向きと角度が自由に動かせる。
  夜間飛行の消灯後も、このライトを引き寄せれば、手元だけを照らすことができる。
  フルフラット時に伸縮する座面だが、着座状態での座面調節も可能。
  各人の体格に合わせた座面の奥行きを選ぶことができる。
  隣席とのパーテーションはささやかな大きさで、着席時にはほとんど用を成さない感じだが、
  ベッドモードで寝る体勢になった時に、このパーテーションがあると隣席とかなり仕切られた感じがする。
  フラット時にギリギリまで足が伸ばせるように、前席の足元はかなり余裕が取られている。
  当然ながら着席時にも足元に広がりが感じられ、座席間が結構広く感じられる。








Premium Economy


近年、各国のメガキャリアがこぞって採用しているクラスサービスが「プレミアム・エコノミー」クラス。
「エコノミークラス」よりもちょっぴりワイドなシートとピッチがウリのサービスですが、日本のキャリアでは全日空が先駆け。
日本航空では2007年12月より導入を開始。成田〜ロンドン線を皮切りに、欧米主要路線へ続々と導入が続いています。

座席は、「シェルフラットシート」を小型化させたようなフォルムで、「JALスカイシェルシート」の愛称が付けられています。
シートピッチは97センチで、従来のエコノミークラスより約20%のピッチ拡大が図られています。
座席配置は2+4+2で、エコノミークラスよりも1席少なく、その分各席の横幅が拡大されています。

座席背面はシェルで覆われ、リクライニングが前方スライド式なので座席背面が倒れてくることはなく、圧迫感もありません。
これまでは「後ろの席に迷惑になるのでは・・・」と背を倒すことに躊躇いがあった人も、気兼ねなくフルリクライニングできます。

(一部画像は、JALプラザにて公開されていたプレミアムエコノミー席を撮影したものを掲載しております。)


  ヘッドレストは上方向へ上げることが可能。もちろん任意の位置で止めることもできる。
  両脇はウィング型に起こすことができ、頭をしっかりホールドできる。
  テーブルは背面折りたたみ式。2段階で引き出すことが可能で、用途に応じて大きさを変えることができる。
  最大の大きさで広げた時には、A4サイズのノートPCを広げてさらにドリンクを置いておけるほどの大きさになる。
  モニターは9インチの液晶モニターをバックシェルにビルトイン搭載。
  モニターの脇にはポーチなどを引っ掛けておける収納式のフックが備えつけられている。
  センターアームレストの下部にはパソコン用の電源ポートを装備。
  エグゼクティブクラス同様に、2・3ピンの国際仕様のコンセントにも対応しており、電力容量も同じだけ使える。
  エコノミークラスとは思えない装備が、この読書灯。まるでビジネスクラスのような装備品。
  フレキシブルアームで照らす位置や高さを好きに調節できる。
  機内エンターテイメントサービスのコントローラー。裏面は電話機になっている。
  前席の背面。テーブルの下には小さなリテラチャーポケットがあり、小物を収納しておける。
  その下にはフットレスト・バー。一見分かりにくいが、回転可能な2面展開式となっている。
  コントローラーの収納部の下にも小物入れ。ここは500mlのペットボトルがスッポリ入る大きさになっている。
  シートベルトにはエアバッグが内蔵されている。
  これは前方席のシェルへの距離がエグゼクティブクラスに比べて近く、有事の際に激突の可能性があるため。
  プレミアムエコノミーでは、エコノミーで提供される機内サービス品に加えて、プラスのサービスが受けられる。
  シャンパンや焼酎・ペリエなどがあり、さらにアイスクリームやカップ麺も用意されている。
  アメニティキットとして、歯ブラシ・保湿マスク・アイマスク・耳栓・アイリフレッシャーが準備されている。
  もちろん機内スリッパやブランケットも用意されている。







バーコーナー ギャレー
      

エグゼクティブクラスの客室前方にはセルフサービスのバーコーナーが設置されています。
シルバーと淡いグリーンのパネルで構成されたバーコーナーは、スポットライトによる照明が印象的。
画像は国内線運行時に撮影をしたのでバーコーナーは空っぽですが、ボトルホルダーも見えるので、アルコール類やスナックなどが
国際線運行時にはいろいろと並べられるのではないかと思われます。

ギャレイの画像は、左の3枚がファーストクラスのギャレイ。右4枚がエグゼクティブクラスのギャレイです。
ファーストクラスのギャレイが、思ったよりもコンパクトで小さいのが驚きでした。










サニタリー 出入り口

       

サニタリーコーナーは、ファーストクラス・エグゼクティブクラスとも同じ雰囲気で、アイボリー基調のよくあるタイプ。
ファーストクラスのサニタリースペースは特別豪華とか、特別な設備があるとか、ということはありませんでした。
一部のサニタリーコーナーには折り畳み式のベビーベッドや、着替えの時に使えるステップが装備されていました。







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