日本航空 Boeing777-200 国内線ファーストクラス装着機

 

これまで日本の国内線ではJAL・ANA・JASの大手3社とも「スーパーシート」と「普通席」の2クラス制を敷いてきました。
途中、JASがミドルクラス「レインボーシート」を設定し、日本初の3クラス制を立ち上げましたが、 JAL/JAS統合で「レインボーシート」は「普通席」へと格下げ。
旧来からの2クラス制へと戻りました。

2004年6月。JALは、プラス1,000円で利用できる上級クラス「クラスJ」を導入。
そのかわりに、それまでの「スーパーシート」を廃止して、「クラスJ」と「普通席」の2クラス制とすることを発表しました。
これを受けて、ライバルのANAは「スーパーシート」のサービス内容を強化、ハイグレードサービスを謳う「スーパーシート・プレミアム」を発表。
JALとは同じ道を辿らずに、さらなる高級指向を狙っての2極化を目指しました。

手軽に利用できる「クラスJ」は、平均搭乗率が85%を越える爆発的な人気を博し、幹線便では「クラスJ」から満席になっていくほどに。
しかし料金の大幅値下げの替わりにサービスを簡略化させた「クラスJ」は、それまでのビジネス顧客(とりわけ企業のトップ)の満足と支持を得ることができず・・・
結果、上級指向の利用者や顧客をライバルのANA「スーパーシート・プレミアム」へと逃してしまい、結果、企業ブランドのイメージ低下へと繋がる結果に。

しかしそんな中でもJALはB747やB777、B767、A300以外の、B737やMD90といった地方路線向け中型機へも着々と「クラスJ」を拡大。
誰もが、「JALは“クラスJ”路線で突き進んでいくのだ」と思いましたが・・・・・


2007年1月17日。 JALから突然発表された驚きの“新商品”。それが国内線史上初となる「ファーストクラス」の導入。
国際線ニューソロシートを彷彿させるアイボリーの革製シート、破格のシートピッチ、機内食とアルコールを全時間帯で提供、充実のアメニティ。
さらに、空港では専用カウンターとファストトラックを設置。ラウンジも開放するなど、どれもが驚く内容でのサービスを堂々と発表。

2007年12月1日から、国内線ファーストクラスは「羽田−伊丹」線の一部機材でサービスを開始。今後は福岡線・札幌線へも導入予定。
「ファースト」「クラスJ」「普通席」と、かつてのJASが展開させた3クラス制へと戻ってきたJAL。

『日本の空に初めて流れる上質な時間。』
果たして、このファーストクラスが毀損しかけていた企業イメージのブランド再生への起爆剤となるか、今後が注目されます。





国内線ファーストクラス
















国内線史上初となる「ファーストクラス」。
2007年12月現在、B777-200の2機のみに搭載されており、羽田−伊丹間の限られた便のみだけに設定されています。

Aコンパートの前方約半分を「ファーストクラス」が占めており、アイボリーのシートがこれまでにはない雰囲気を醸し出しています。
シートピッチは約1、300mmという、とてつもない広さを誇り、窓際席であっても比較的ラクに通路へと出ることができます。
シートに座ると、体全体がふっくらと包みこまれるようで、これまでの旅客機のシートからは想像もつかないほどの質感です。
肘掛け・ヘッド部分・レッグ部分と体が密着する部分は、すべて革張りとなっていて全体のバランスの不自然さが全くありません。

リクライニングは最大42度まで倒れますが、背面クッションが張りを保ちつつもふっくらとした柔らかさなので、42度以上のゆとりを実感。
JAL発表のシートスペックでは、デフォルト状態で27度の傾斜角を持たせてあるそうです。

リクライングボタンは、エアラインのこの手のアッパークラスシートでは珍しく、電動式ではありません。
かつてJASの「スーパーシート」も電動式を奢っていましたが、なぜ今回JALはあえて電動式を採用しなかったのか・・・
電動式では機器を座席下に格納しなければなりませんが、今回のこの座席では、特に羽田−伊丹線を意識して製作。
利用者は手元に荷物を置いて、降機時にさっと降りたいという願望が強いことを念頭に、座席下に荷物置きの空間を作ることを決め、
電動式の採用でこの空間を殺してしまうよりは、電動式を採用せず空間を確保しようという考えの元にそうなったそうです。

アイボリーの座席とうまい調和を魅せつつも、目を引くようなポイントとなっているのがセンター部分の大型コンソール。
両脇の肘掛と木目調コンソールを合わせた幅は、なんと300mm以上にもなり、隣の席との距離感を稼いでいます。
コンソール内は鏡面仕上げとなっていて、奥行き感と表面のカジュアルなストライプ模様が、仕切りの圧迫感を和らげています。

コンソール上には扇形のパーテーションがあり、なんとなく視界に入る隣席の乗客をシャットアウト。
このパーテーションは、2人連れで隣同士に座った場合も考えてか、ほどほどの高さとなっていますが、やや中途半端な感じ。
個人的な感想としては、上下可動式にして、2人連れなら収納してオープンな雰囲気に、
見知らぬ同士で完全に仕切りたい時は、上方へと引き出して向こうが見えない高さまでになる可動式であればなおよかったでしょう。


シート自体は、アイボリーの革とクッションは滑り感も無く、全体のバランスもグッド。
「座席」というよりは「ホテルのソファーを持ち込んだ」という表現でもおかしくないほどの寛ぎがあります。
(完全を目指すゆえの)若干の不満もありますが、上品な雰囲気と比類なきサービスの数々(詳しくはページ下部をご覧あれ)、
そして、ファースト専任に就くCAさんの甲斐甲斐しい応対が、このファーストクラスの存在を高めています。
今後はANAが「プレミアムクラス・スーパーシート」を導入して、どのようなサービスを展開してくるかにもよるでしょうが、
このファーストクラスは、上級指向を目指す利用者には満足のいくアッパークラスになっていることは、間違いありません。


シートを包み込む革と低反発素材を使ったクッション材は、オーストリア製。ゴージャスな雰囲気を醸し出す木目素材は、ドイツ製。
コンソール内にのミラーは、日本製のステンレス素材。そして、シート本体は日本が世界に誇る「小糸工業株式会社」製。



センターコンソール。艶のある木目調の仕上げと、内部の奥行きあるミラー仕上げが美しい。
コンソール上部のカーブデザインも、優雅さを醸し出している。
コンソール内にビルトインするかたちで、すっきりとまとめられたコントロールパネル。
手前に向かって傾斜が付けられており、フルリクライニング状態からでも無理なく手を伸ばせる。
コンソール先端のカクテルトテーブルや小物置きカウンター。
メガネやペンを置くと、木目調仕上げの表面の美しさが改めて光るよう。素材のせいか、若干滑りやすいのが玉に傷。
カクテルテーブルには、機内で提供されるドリンクや茶菓程度なら置いておくことができる。
この座席は収納テーブルがとにかくデカいので、テーブルを出す必要がなければカクテルテーブルでも事足りる。
カクテルテーブルは引き出すことができ、好みの使いやすい位置へと動かせる。
ちなみに奥と手前にのみ可動し、横方向へ動かすことはできない。
座席周りに「ペットボトル」を収納できる場所がなく、持ち込みの時にちょっと困るのですが・・・
実は、コンソールのカーブ状トップとなる位置には、ペットボトルがすっぽりと立てて収まる設計となっている。
 リクライニングボタンは、丸型を3連を並べて。画像は左からフットレスト・レッグレスト・リクライニングの順。
 レッグレストは展開時のレスポンスが良く、ものすごい勢いで出てくる。一方フットレストはレスポンスがあまりよくない。
読書灯はフレキシブルアーム式。高輝度発光ダイオードにより、照らしたい部分を集中的に照らす。
スイッチ部分を軽く触れると「強→中→弱→切」と段階的に照度が変わるが、中と弱の差があまり無いような気がする。
ヘッドレストは、好みの高さに変えられる上下可動式。カバーにはさりげなく金の刺繍で「F」のロゴ入り。
また、左右にはウイング機構がつけられていているが、固定力が弱く、自然に元に戻ろうとしてしまう。
テーブルは、機内食の提供を前提としたかなり大型のワイドテーブル。大きさと比例して重さもかなり・・・
ドイツ製という木目調のテーブルは、瑞々しい艶と質感が美しく、これだけで高級家具のような雰囲気がある。
12インチのノートパソコン(画像はAppleのiBook)を置いても、なおこの余裕。(座席周りにコンセントの装備は無い)
テーブルは展開後に前後のスライドが可能。手前へと引き寄せることができ、好みの位置で使うことができる。
テーブルを出すには、センターコンソール側のアームレストから引き出すのですが、
この時にカクテルテーブルまで一緒に持ち上がってしまうのが若干の不便を感じる。
座席背面のリテラテャーポケット。2つ口が用意されており、奥側はメニューや書類などを挿しておくのに使える。
手前側はノートパソコンがスッポリ入る。ペットボトルはかなりキツいが、ムリヤリ入れようと思えば入る。
様々な機能や装備を誇るファーストクラスシート。
その機能を分かりやすく説明するマニュアルシートが備えられているので、目を通しておくと便利。
座席背面下部には、カバンなどを収納できるスペースが確保されている。
おおよその広さは、横幅:約40センチ×縦:約20センチ×奥行き:約35センチ。
機内アメニティのスリッパ。ANA「スーパーシートプレミアム」のスリッパと、ほぼ同等品。
使い捨てとはいえしっかりした素材で、持ち帰って自宅や仕事場で使っても違和感の無い、高級感ある品。
オーディオサービス用のヘッドフォンは、パナソニック製の「ノイズキャンセリング・ヘッドフォン」を採用。
その形状から、「ステレオヘッドホン RP-HC150 」のJALオリジナルと思われる。
リラクゼーション・アメニティとして、テンピュール製のクッションを貸し出し用に用意。
ブランケットには「JAL First Class」のロゴが入る専用のものを用意。
着席状態からの目線で見た機内の全景。 正直、機内ビジョンのちゃちさには驚いた。
画像では見えないが、上空での機内サービス中は、後方の「クラスJ」ゾーンとはカーテンで完全に仕切られる。
天井回りや壁面は、従来からのB777と何にも変わっておらず、座席の高級感を薄めてしまうほどの素っ気無さ。
もっと飾り気のある化粧板で客室内の雰囲気を変えて欲しかったが、やはり旅客機の構造上無理なのだろうか。
オーバーヘッド・ストウェッジは、ゾーンの広さ分だけの収納力となっている。
若干少なめのようだが、Fクラスでは預け荷物が40Kgまで無料なのと優先受取があるので、機内持ち込みは多くない。













今回の「ファーストクラス」サービスで大きな話題と関心をまいたのが、本格的な機内食サービス。
これまで国内線最高峰であったANA「スーパーシート・プレミアム」の食事サービスは、朝夕の限られた時間のみに、
ボックスミールでの提供となっていたのを、今回JALではファーストクラスの機内食を、食器で全時間帯での提供を発表。
さらに、食事を希望しない乗客には、軽食・菓子・おつまみ・甘味など好きなものを選べるようにし、
実質「フリーオーダー・ミールサービス」を国内線で実現するという、とてつもない戦略を打ち出してきました。

機内食サービスは、一日を3つの時間帯に区切った内容で行われます。
【始発便〜9:00出発まで:朝食帯】和食と洋食を月替りで提供。メニュー内容は10日おきに変更。
【9:01〜16:59出発まで:中間帯】重箱にご飯物をつめた「重箱弁当」か「こだわり甘味」の選択。
【17:00発〜最終便まで:夕食帯】和食と洋食を月替りで提供。メニュー内容は10日おきに変更。
【始発〜最終便まで全ての時間帯】サンドイッチ・チーズ盛り合わせ・カップ麺などの軽食とスナックを提供。

これにより、例えば朝食帯だけどそんなにお腹が空いてないから軽食のサンドイッチだけオーダーとか、
夕食時間帯でお腹が空いているから、夕食の洋食にサンドイッチ、さらにカップ麺も食べたいというオーダーもOK。


ANAのSSPでは、有名老舗料亭とタイアップした「匠味」を昼食・夕食に隔週限定で提供して話題になりましたが、
JALのファーストクラスでも率先して、機内食(夕食帯)や甘味に有名レストランなどと提携したメニューを採用しています。

ドリンクには、アルコールをなんと全時間帯で無料提供。シャンパン・ワイン・ビールから幻の焼酎「森伊蔵」まで、
ソフトドリンクも、ベーシックなところからスカイタイムゆずやペリエ、ほうじ茶など豊富なラインナップとなっています。

メニューは、JALホームページの「国内線ファーストクラス」の専用ページで確認が可能。
搭乗前に、機内で何を頼もうかとメニューを下調べしておけば、ファーストクラスの旅がより楽しいものになりそうです。











            





上空での機内サービス中は、「ファーストクラス」と「クラスJ」はカーテンで仕切られるので、
「ファーストクラス」の乗客が利用するトイレは自動的に客室前方のトイレとなり、ここが実質「F専用」となるのですが・・・
この素っ気無いラバトリはどうなんでしょう。ビックリするほど今までどおりで、全く飾り気がありません。
かつてJASが、女性専用ラバトリ「フローラルルーム」を設けた際、可能な中でできる限りの飾り気を出して、
機内トイレの雰囲気を一新させたのがまだ記憶に残っているせいか、このファーストクラスのトイレはちょっとガッカリでした。

一方、機内食を準備する「ギャレー」。
様々な食事をフレキシビリィに、しかも食器で提供するのだからさぞ大掛かりな設備に改造されているのだろうと思いきや・・・
ここも見た目の広さは、従来からのB777とほとんど変わっておらず、この中であれだけのサービスを行っていることに驚きです。
ちなみにCAさんのお話では、片道ごとに食器入替や機内食の積み込みはせず、羽田ベース・伊丹ベースへと全てを戻すために、
食器や機内食は、必ず往復分を積んでいるのだそうです。・・・このコンパクトな空間のどこにあれだけの食材と食器が・・・!?






日本航空 国内線ファーストクラス搭乗体験記
2007年12月某日(平日) JAL111便  HND 0930→ITM 1040 機材:JA8983

06:30頃 【チェックイン】
羽田空港 北ウイング

早朝にもかかわらず空港内は多くの人でごった返している。
ファーストクラス専用カウンターで搭乗手続き。ここは並んでいる人はおらず、スムーズに手続き完了。
接客はANAのスーパーシート専用カウンターと同じような感じ。特にこれは!と思うような秀でた部分はない。
パソコンの入ったカバンを荷物預け。扱いは丁寧だが、「こわれもの」ではないかなどの確認は無かった。
(私もうっかり、パソコンが入っていることを申し出ずに、そのまま預けてしまった。)

  【保安検査場】
羽田空港 北ウイング

ファースト専用カウンター脇にある「ダイアモンド・プレミアラウンジ」へと通じる通路へ。
深いブラウンの壁で仕切られた、高級感溢れる通路の先にはラウンジのフロント。ここで搭乗券を見せる。
その先はすぐ専用保安検査場。もちろん待ち時間など無く、スムーズにセキュリティゲートを通過。
ゲートの先はすぐラウンジとなっていて、ほとんど「流れるまま」に全てが進み、一般ゲートの長蛇の列がウソのよう。

  【DPラウンジ1】
羽田空港 北ウイング

ラウンジ内は思ったより空いていた。個室のように仕切られたブースに荷物を置き、ドリンクサーバーへ。
生まれて初めての空港ラウンジ内の雰囲気に、思わずあちこちへと目移りしてしまう。
ドリンクサーバーはファミレスのドリンクバーのような感じ。アルコール・ソフトドリンク・ホットドリンクと何でも揃う。

早朝ということでパンサービスがあった。くるみパンとチョコデニッシュの2種類。
くるみパンは美味しかった。(1つが小さいこともあって、3つおかわりした) デニッシュは・・・正直イマイチ。
ここで食事をしながら、新聞を読んだりしてしばらくのんびりと過ごす。

周囲はほとんどがスーツ姿のビジネスマン。入れ替わりが激しく、朝の忙しい時間帯であることが分かる。
もう1個くるみパンを食べようかとパンサーバーへ向かうと、もう空っぽでパンサービス終了であった。

7:30頃 【DPラウンジ2】
羽田空港 北ウイング

ラウンジを後に、搭乗ロビー側へと出る。その足でサクララウンジへ向かい、ラウンジをハシゴ。
フロントで搭乗券を見せるも、ステータスカードの提示を求められる。
なんせこっちも初めてのラウンジなので、てっきり入ってはダメなのかと思い引き返そうとしたが、
「あ、ファーストクラスのお客様ですね、どうぞ」と通してくれた。
新千歳行きや伊丹行きの便が発着するゲートに近いせいが、ラウンジ内は大混雑。そのままおとなりのDPラウンジへ。
こちらはのんびりムード。
空港のエプロンが目の前に見え、お茶を飲みながら出入りする飛行機を眺め30分ほどを過ごす。

8:00頃 【サクララウンジ】
羽田空港 南ウイング

南ウイングにもラウンジがあるので、行ってみることにする。
こちらのフロントでも、最初「この搭乗券では入れません」と断られ、ステータスカードを求められる。
伊丹便は北ウイング15番ゲート発なので、南ウイングでのラウンジ利用はダメなのかと思ったのだが、
「あ!スイマセン!ファーストクラスのお客様ですね。失礼しました!」とすぐに通してくれた。
・・・・ファーストクラスが始まってもう半月以上が過ぎているのだが・・・大丈夫か日本航空?!

こっちのサクララウンジは北ウイングより空いていた。同じく目の前に飛行機が見え、ずっといても飽きない。
ドリンクの種類がDPラウンジより豊富なのは、ちょっと不思議な感じがした。
ビジネスマンより旅行者風の人がラウンジ内に多かったのも不思議な感じ。北と南・時間帯にも拠るのだろうか?
窓の向こうに、トーイングされている「ワンワールド特別塗装機」を初めて見た。

8:30頃 【サクララウンジ】
羽田空港 北ウイング

あんまりギリギリまで南ウイング側にいると、搭乗時間が迫った時に大変なので、再び北ウイングへ戻る。
先ほどは大混雑だったサクララウンジだが、今度はけっこう空いていた。
北と南のラウンジでは、どちらも似たような雰囲気ではあるが、カウンター席がある南のほうが個人的には好みだ。

ここでも30分ほど過ごし、搭乗ゲートへと向かう。

9:00頃 【搭乗ロビー】
羽田空港 15番搭乗ゲート

搭乗ロビーはすでに、JAL111便のボーディングコールを待つ人たちでごった返していた。
さすが大幹線伊丹線、しかも時間も9:30発ということもあって搭乗客も多そう。今日の111便は全クラス満席となっていた。

9:10頃 【優先搭乗開始】
羽田空港 15番搭乗ゲート

ボーディング開始。まず小さな子供連れや介助の必要な方の優先搭乗。この日はこれらに該当する人はいなかった。
続いてエリートステータスメンバーとファーストクラスの乗客の優先搭乗。
エリートステータスの乗客が多いのか、かなりの乗客が優先搭乗のコールで集まってくる。
もちろん、私もファーストクラスの乗客として優先搭乗でボーディングブリッジへと通してもらえた。

  【機内へ】

ついにあの「ファーストクラス」キャビンへ!
ドアのところでは、等間隔に3人のCAさんが立っており、「おはようございます」とご挨拶。

着席すると、すぐに1人のCAさんがやってきて・・・
「○○様、本日はファーストクラスのご利用ありがとうございます」と、なんと名前付きで個人個人に挨拶。
さらに「本日担当させていただきます、△△でございます。」と自己紹介。最初から優越感に浸れる展開に、驚きと感動!
(ちなみに私はJMBのエリートステータスも無い、全くの平会員。しかもほとんどANA利用という「幽霊JMB会員」である)

機内BGMには、ENYAの「Wild Child」がさりげない音量で流れていた。お決まりなのだろうか? なかなかいい選曲だと思う。

後方の「クラスJ」と「普通席」へまだボーディングが続いているが、「ファーストクラス」はあらかたのお客が着席済み。
「新聞・雑誌はいかがですか」「マクラを御用意しております」とリクエストを伺いつつ、機内食のリクエストも訊いて回る。
私の隣のお客には「いつもファーストクラスご利用頂いているのでご存知だとは思いますが、お食事はいかがされますか?」と、
さりげなくリピーター顧客であることを意識させるような言い回しで聞いていたのが印象的だった。

ちなみに、新聞がすべて新品で使い回ししていないことに気がついた。(ANAのSSPでは、前の便のを使い回していた)
また、ウエルカムドリンクのサービスはないものの、水なら申し出ればグラスですぐ出してくれるようだ。

9:30 【ドアクローズ】

時間ピッタリにドアクローズ。

先の挨拶とミールオーダーのリクエストは、「クラスJ」と「普通席」の搭乗客の行列の合間を縫って行われるので、
ファーストクラスが満席だった場合は、時間ギリギリまで挨拶をしたりオーダーを聞いたりするようになってしまうようだ。
この日もドアクローズ後も乗客の対応をしているCAさんがいた。

9:34 【プッシュバック】

「定時出発へのご協力、誠にありがとうございます」のお礼の放送が機内に流れる。

タキシーウェイをランウェイへと進むが、なかなか到達しない。
この飛行機の前に離陸待ちの飛行機が7機あるとの事で、当機の順番まであと10分ほど掛かるとの放送。

9:50頃 【テイクオフ】

やっとJAL111便の順番が回ってくる。今日は34Rからのテイクオフ。

加速が増し、一気に体にGが掛かると・・・座席背面が勝手にリクライニングして倒れたかのような感覚。
自席だけじゃなく、機内の座席が一斉にリクライニングのようにちょっと倒れる?! この光景にはビックリした。

羽田空港を眼下に見ながら急旋回。遠くには雪をかぶった富士山が見え、晴れ空へと一気に上っていく。

9:57頃 【ベルトサイン消灯】

巡航に入るとすぐにCAさんは、ファーストのキャビン後方のカーテンを閉め、サービス準備に入る。
(前方のギャレイ仕切りカーテンは・・・なぜか全開。スーツからエプロン姿へ着替える姿が丸見え(笑))
ドリンクだけ先に来るのかと思ったら、どうやらミールと一緒に届けられるようで、しばらく間がある。
とりあえず何か先に飲みたいという時は、オーダー時に「飲み物だけ先に」と言っておく必要がありそう。

ファーストクラスを担当するCAさんは3名。内1人は「クラスJ」と掛け持ち?
何度も両クラスの間を行ったり来たりして、ミール盛り付けの補助や通路で呼び止められた場合の対応をしていた。

2名のCAさんの担当は、ポートサイド側(1・2・3列のA〜D席)とスターボード側(1・2・3列のG〜K席)で担当を分担。
(ただし、片方の担当に余裕がある時は、反対側のエリアもこまめにリクエストを訊きに回ってくる。)

10:17頃 【ミールが届く】

ミールの提供は、内容がどうであっても1番列から順番に配膳されるようだ。
例えば、1G席と2H席と3D席の乗客が軽食のみの希望だったとして、先にこの3席に同じものだから一気に届ける、といった
いわゆるファミレス的な配膳は行われない。サーブ内容の重い軽いに関わらず1番列が優先。

そんなわけで、私の座っている2K席に「重箱弁当」が届いたのは、ベルトサイン消灯から20分ほども経った頃。
羽田−伊丹線では、もはや飛行行程も半ばという頃で、食べきれるかちょっと焦る。
もちろん最後方3列目は、私よりもあとの配膳となるので食事時間はもっと短そう。
機内での食事をゆっくりしたいという場合は、予約時にできる限り1列目を指定したほうがよさそう。

CAさんは配膳しながら、他の席から注文を受ければその都度対応。(もちろん全席への配膳終了後に再配膳となる)
この時感心したのが「少々お待ちくださいませ」とオーダー受けを拒否することなく、すぐ受け答えしていること。
慌しい飛行時間の中でのミールサービスに、気を焦ることなく笑顔で対応していることは特筆に価する。

ちなみに「重箱弁当」が届くと、すぐに機内放送。
「こちらはコックピットです。当機はあと15分ほどで着陸態勢へと入ります。お手洗いを済ませでないお客様は・・・」
と、もうベルトサイン予告の放送が流れてビックリ!

10:25頃 【再びミール注文】

「重箱弁当」だが、短い飛行時間を想定してか、見た目より中身はけっこう軽い。
焦って食べてはいなかったのだが、私も数分で食べきることができた。

一通りの配膳が済むと、CAさんはすぐに客室へ出て、再び追加オーダーがないか訊いて回る。
ドリンクの追加が多いようだが、これはその都度ギャレイに戻らず、まとめて後でサーブするよう。
(ちなみにファーストクラスでは、ドリンクであってもカートによるサーブは行わない。すべてCAさんがトレイに載せて持って来る)
とにかく飛行中は客席へと出て、乗客との対応に時間を費やすようにしているようだが、不思議としつこさはない。
ANA「スーパーシート・プレミアム」での、同じような甲斐甲斐しさの中にも爽やかさがある対応がJALにも生まれていると実感。

ベルトサイン点灯までに間に合うか分からなかったが、追加オーダーで「チーズ盛り合わせ」を注文。
時間がないという理由で断られるもの覚悟していたが、「かしこまりました」と笑顔で対応してくれた。

10:27 【チーズが届く】

驚いたことに、オーダーからわずか1分弱でチーズ盛り合わせが届いた。
「お待たせしました」と届けてくれたが・・・・全然待たされてませんよ!? スゴイ!

想像するに、作り置きではなく、配膳しながら次にオーダーとして出そうなものを予想して準備しているのではないだろうか。
チーズを齧った時に、表面が全く乾いていなかったことから作り置きではないことがすぐに分かった。
ファーストクラスが始まって半月。だいたい「この時間帯では次にこれが出る」という流れをCAさんが掴んでいるのではないかと思う。

当初「羽田−伊丹線の短い時間で食事なんか出せるの?!」と誰もが思っただろうが・・・・
一品あたりの適度な量(しかも軽さを感じさせない見事な盛り付け)と、CAさんのこまめな配慮で「食事時間」は見事に成り立っていた。

10:31頃 【ベルトサイン点灯】

時間を忘れて優雅に食事を摂っていたが・・・やはりファーストクラスといえども伊丹線の短い飛行時間は同じ。
「ポーン・ポーン」とチャイムが鳴ってベルトサインが点灯。
CAさんは機内を回り、食器やグラスの回収に回り始めた。(ちなみに配膳しながら食器回収はこまめに行っている)

私はチーズ盛り合わせがまだ食べ途中だったが、「仕方ない・・」と自分からCAさんに食べ掛けのまま食器を返却。
まだ食べ終わっていないことに、さすがに「食べ終わるまでいいですよ」とは言ってくれなかったが、
「お食事途中で申し訳ございません」と、すまなそうな顔で一言付け加えてくれたので、イヤな気分は全くしなかった。

食器回収と同時に、後ろの「クラスJ」からCAさんが1人やってきて、預けのコートやスーツの返却を担当していた。
この時、雑誌のリクエストをしている客がいたが、もちろん笑顔で対応していた。
なおANA「スーパーシート・プレミアム」で見られるキャンディサービスはなかった。

10:42頃 【ランディング】

予定より若干遅れての伊丹へのランディング。
32Lからの進入で、着陸寸前には眼下に新大阪駅を出る「はるか」や、阪急電車が模型のように見下ろせた。
着陸後にはCAさんの機内アナウンス。羽田の混雑で定刻より遅れての到着となったことを何度も詫びていた。

ちょっと「おや?」と思ったのが・・・ 「本日もワンワールドアライアンスメンバー・日本航空をご利用いただき・・・」と挨拶していたこと。
どっかで聞いたことのあるフレーズだなと思ったのだが「ワンワールドメンバー」ではなく、「アライアンス」を入れるんですね。
ちなみに帰りの便では「本日もワンワールドメンバー・日本航空を・・・」と挨拶。言い回しでの細かな決まりというのは無いのかも?
(英語での案内は「oneworld alliance member Japan airlines・・・・」で統一されているようです。)

10:48頃 【スポットイン】

羽田−伊丹線の定番スポット「17番ゲート」へとスポットイン。
飛行機が止まると、すぐに乗客が立ち上がりドア前へと歩き出す。
ファーストクラスのほうがドアに近いのだが、早くも後方の「クラスJ」から乗客がファーストのキャビンになだれ込んでくる。
結果、出遅れたファーストのお客がなかなか通路に出られないという状況。
これには不満を感じるファーストクラスの常連は多いのではなかろうか。可能な限り「優先降機」も実施して欲しいところ。

ドアオープンすると、中には、ボーディングブリッジを走っていく乗客もいた。この路線はホントに忙しい路線なのだと実感。

ファーストクラスの乗客の中には、CAさんから小さな紙袋を手渡されている乗客がいた。
どうやらこれはミールを注文しなかった場合に、機内でお食事されなかった代わりにと茶菓子の詰め合わせを準備しているようだ。

10:55頃 【機外へ】

降りるときにCAさんから「F」のロゴが入った小さな紙袋を頂いた。
「本日はご希望のお食事が最後までご提供できず、大変申し訳ございませんでした」と、チーフの方じきじきにご挨拶。
どうやら「チーズの盛り合わせ」が時間切れで最後まで食べ切れなかったことのお詫びのようで、
こっちは全然そんなことを気にしていなかったので、こんなところまでフォローするのかと、正直今日一番の驚きだった。

(帰宅後に中身を開けてみたら、「おすすめ甘味」として機内食提携している「鈴懸(すずかけ)」の和菓子詰め合わせだった。
 しかも生菓子で賞味期限は翌日。こんな日持ちしない、出るかどうかも分からないお菓子を準備しているJALに2度驚かされた。)

11:00頃 【バゲージクレイム】

わりと後のほうに降機したので、バゲージクレイムではもう荷物が回り始めているかと思ったら、
着いたらちょうど回り始めたところだった。

ファーストクラスの乗客の荷物は優先引取りとして、最初にうちに荷物が出てくるのだが、なんと一番に出てきた。
「PRIORIY SERVICE FIRST CLASS」のタグがついていたが、一緒に「FRAGILE Handle with care」のタグも付いていた。
確か羽田では「パソコン」が入っていることを伝え忘れたていたのだが・・・!?
どこで気付いて「取り扱い注意」にしてくれたのかは分からないが、これにはまた驚かされた。











ファーストクラスを利用する乗客は、羽田空港と伊丹空港でラウンジサービスを受けることができます。
今後、福岡線・札幌線へサービス拡大した際には、福岡空港・新千歳空港でもラウンジが使えるようになるでしょう。


ダイヤモンド・プレミアラウンジ 羽田空港



































サクララウンジ 羽田空港





















サクララウンジ 伊丹空港









































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