旧・日本エアシステム時代から羽田と日本各地を結ぶローカル路線で活躍していたMD-81。 JAL/JAS統合によりMD-81は全機がJALグループへと移行し、引き続きJASから移管されたローカル線に就航。 全18機のフリートは、各地の地方空港へ向け、日本のあちこちへ所狭しと飛び交いました。 その後、B737-800やE170などの新鋭小型機の登場や、JALグループそのものが経営危機に陥るなどの波乱の時代に。 MD-81は時代の荒波へ飲み込まれるように、機材整理の名の下でフリートの縮小化が加速。 2010年9月で、25年に渡る日本でのMD-81の歴史に幕を下ろし、全機が引退となりました。 |
機内は2+3の5アブレスト、この左右非対称の座席配置は日本のジェット機ではMD-81・-87・-90だけに見られるもの。 天井の低さを除けば、最大のライバルである「新幹線」にも似た座席配置は、なんとも不思議な雰囲気です。 MD-81は全席普通席で、JAS〜JAL時代を通じて、スーパーシートやクラスJサービスは行われませんでした。 シートカバーはJAS時代からの、オレンジとブルーに大きな花柄をあしらったものとなっていました。 単色でシックな柄を用いる近年の旅客機のシートカバーに比べるとかなり派手な印象で、リゾート風な雰囲気も漂います。 オレンジとブルーは、左右で千鳥配置になっています。 座席は、全体的に肉厚なクッションと太めのパーツで構成された肘掛などレトロな感じがしますが、どっしりとした安定感があります。 クッションは座面・背面とも最近の旅客機の座席と比べるとかなり柔らかめ。 座るとクッションに腰が沈んでいく感じがしっかりと伝わってきて、これだけでホッとするような寛ぎがあります。 背面も、もたれかかると背中が包まれるような感覚があり、実際のリクライニング量は少ないものの、けっこう倒れたような感覚があります。 機内には映像モニターなどはなく、エマージェンシー・デモンストレーションはCAさんの実演で行われます。 また肘掛にはオーディオパネルがなく、機内での音楽放送サービスもありません。 テーブルは通常席は背面収納テーブルを、列最前列席はインアーム収納テーブルを装備。 表面に開いた丸い穴は、機内サービスのドリンクカップがぴったりはまります。 テーブルは手前に引き寄せることはできず、収納状態から引き出すだけの展開となっています。 天井の荷物棚は、新鋭旅客機のような棚が下に引き出てくるタイプではなく、単純な蓋つきのハットラックタイプ。 収納力はそこそこで、流行のキャリーバッグなどを収納するにはけっこう厳しいものがありました。 後方の34番・35番はエンジンのすぐ真横にあたり、窓からはエンジンがよく見えるので航空ファンには人気の席でした。 |
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サニタリーコーナーとギャレーは機体後方にまとめて集約配置。(ギャレーは前方にも小型のものを設置) コンテナストッカーからドアまで深い色の木目柄で統一されていて、かなり独特でレトロな雰囲気を醸し出しています。 機体最後方には非常口がありますが、この先には後部テイルコーンを抜ける脱出口があるほか、地上への折り畳み階段も設置されていて、 就航地の空港では、乗客が前方から降機すると同時に清掃員が後方から機内に入って折り返しの時間短縮にも役立っていました。 |