「日本航空ジャパン」の前身の「日本エアシステム」がまだ「東亜国内航空」であった頃に導入されたAirbus A300。 そのA300にハイテク機材を積んで、FEが乗務しない2メンクルー機として誕生したのがA300-600Rです。 「日本エアシステム」では国内線の主力機材として活躍する一方で、 近距離アジア路線にも投入されて香港・中国・韓国へも飛び、同社の国際線機としても大車輪の活躍を見せました。 「JAL/JAS統合」が始まると、A300-600Rは全機が国内線専属機へと転身。 主要幹線でB777をサポートし、国内ローカル線では主力機として日本全国を飛び回り大活躍しました。 しかし、JALの経営破綻によりフリート内で唯一のエアバス機であったA300は、早期退役対象機種となってしまいます。 2010年から退役が始まりますが、ラストフライト直前の2011年3月11日に東日本大震災が発生。 東北新幹線が完全にダウンしてしまった中で、退役は先延ばしとなり、東北方面への空路輸送力を確保するためにA300は飛び続けました。 その後、東北新幹線が全線で運行を再開したのちに、2011年5月31日をもってA300型機は運航を終了、退役となりました。 |
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まだ「JAS-日本エアシステム」時代であった1997年、A300-600RのAコンパート前方に「スーパーシート」が設けられました。 2+2+2の6アブレストを2列配置・合計12席の設定で、JASらしいゴージャス感のあるシートが搭載されていました。 また、国際線を飛んでいた機材には、Bコンパートの中ほどまでビジネスクラスが設定されていました。 「JALジャパン」後も、しばらくはそのままのシートで飛んでいましたが、「クラスJ」発表後はいち早く新座席への換装がスタート。 現在、A300-600Rは全機が「クラスJシート」への衣替えを済ませています。 「クラスJ」はAコンパート全てを占め、2+3+2ないし2+2+2の配置で全34席が設定されています。 普通席は2+4+2の8アブレスト座席配置。機体後方のみ2+3+2配置となっています。 シートカバーはJAS時代のトロピカルなものがそのまま残されています。 モノトーンなシートカバーが幅を利かす現在にあって、ちょっとレトロで懐かしい感じもします。 A300-600Rは機体中央にギャレーやラバトリがなく、A・B・Cコンパートの境目に簡単なパーテーションがあるだけ。 そのため最前方から通路を見渡すと、一直線に整然と座席が並んでいるのがよく分かり、奥行き感は相当なもの。 |
サニタリースペースはベージュ系配色の内装で、JAS時代の雰囲気をよく残しています。 レディスキットのカゴが設置されているのも、JASの「フローラルルーム」サービスを思い起こさせます。 このレディスキットのカゴにはハンドクリーム、ハンドソープ、消臭スプレー、ポケットティッシュが入っています。 前方左側1ヶ所と後方2ヶ所の計3ヶ所のサニタリが車椅子対応個室となっています。 ギャレーは機体最前方と最後方の2ヶ所に配置。 最前方のギャレーはかつてのスーパーシートサービスの基地でもあり、おしぼりストッカーなどの設備が充実しています。 カートやストッカーには、まだ「JAS」ロゴが残っているものもありました。 |