2008年4月から「スーパーシート・プレミアム」は、「プレミアムクラス」と名称を変えてサービスアップが計られました。 シートそのものは従来のものとほとんど変わっていませんが、シートカバーが青い「和テイスト」を感じるものになりました。 JAL国内線ファースト(以下JAL-F)のような「重厚さ」はあまり感じられないものの、空間全体に開放的な雰囲気があり、 JALの“ごってり感”を追従しないANAのオリジナリティ、カジュアルさ、若々しさが感じられます。 一番大きく変わったのはシートピッチで、それまでの約97センチを一気に約127センチへ広げています。 このシートピッチ拡大は「プレミアムクラス」のサービスがスタートした時点でも改装進行中という状態。 「50インチピッチ」と「38インチピッチ」の機材が混ざった状態で、利用者視点からするとなんとも中途半端な印象。 時刻表やネット予約画面では、「50インチ機材」と「38インチ機材」が分かるようになっていますが、機材変更もありうるそうです。 なお、B777-200とB777-300の改装が優先して行われていて、B767-300とB747-400の改装はその後になるようです。 元々の座席が足元を広く感じさせる設計でしたが、ピッチ拡大に伴ってさらに足元が驚くほど広くなった感じです。 数値的にはJAL-Fより3センチ、ピッチが狭いのですが、それよりも広く感じらるほどです。 レッグレストとフットレストを展開させて足を伸ばすと、以前の比ではないほどにゆったりとした姿勢が保てるようです。 座席背面には上部に小さなポケットと、ジャケットホルダーが追加装備されています。 機内食は、朝食・昼食・夕食時間帯にはボックスミール(老舗コラボの「匠味」か、地方食材を使ったお弁当)が、 それ以外の時間帯では、お寿司やサンドイッチにサラダ・デザート・フルーツを組み合わせた「プレミアムデリ」が提供されます。 また羽田・伊丹・札幌・福岡発の朝食提供便では温かいスープやお粥をメインにした「プレミアムスープ」が提供されます。 以前は茶菓時間帯には、老舗や名店のお菓子を詰め合わせたボックスが提供されていましたが、これは無くなってしまいました。 さっそく羽田伊丹線で50インチピッチに拡大された機材に乗って、「プレミアムクラス」サービスを体験してきましたが、 以前に体験済みのJAL-Fと比べると、いろんな意味で「ゆったり」しています。 シートピッチや足元に感じる広さは先に述べたとおりですが、機内サービス全般でもそれが感じられました。 まず食事の提供ですが、ボックスミールなので全席への配膳がすぐに完了し、食事をゆっくりと摂ることができます。 この点、JAL-Fでは食事の配膳が慌しく、席や注文内容によっては食事の時間が極端に短くて、食べるのに焦ってしまうほど。 食事の後は、CAさんが常に機内に姿を見せていて、ちょっとしたことでも頼んだり声を掛けやすい環境にあります。 食事を終えてなお、機内誌を読んだり、飲み物のお替りをしたり、音楽サービスを聞いたり、窓の外の風景を眺めたり。 のんびりと空の旅を楽しめるので、JAL-Fが飛行時間いっぱいに食事を堪能する「空飛ぶレストラン」な感じだとすると、 ANAのプレミアムクラスは「トータル的に“空の旅”を楽しめるハイグレードクラス」という印象を受けました。 |
「プレミアムクラス」の利用者は、空港でいくつかの優待サービスを受けることができます。 羽田空港では専用のチェックインカウンターがあり、専用のセキュリティゲートも設けられています。 羽田空港と伊丹空港では「ANAラウンジ」でラウンジサービスが受けられます。 羽田空港には「本館」「本館南」「北ピア」の3箇所にラウンジが設置されていますが、いずれも使うことができます。 ビジネスエリアやコンセント付きの席が充実していて、無料で使える無線LANが完備されています。 |
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普通席も、登場時と現在ではキャビン内の座席配置が大きく変わっています。 こちらは登場時のキャビン。3+3+3の9アブレストで、緑と青の座席が並んでいます。 3人掛けの真ん中の席は、窓側/通路側より座席幅が広くなりました。 ボーイングの機材は、このB777-200から天井回りが滑らかな曲線で構成されるようになりました。 頭上に感じる圧迫感は大幅に軽減され、機内がずいぶんと広く見えるような開放感があります。
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現在のB777-200国内線機材でみられる「増席バージョン」の機内です。 横9列配置から、3+4+3の10アブレストへと座席配置が変化。大幅な定員アップが図られました。 残念ながら、9列時代の良さであった「ゆとり」に通じるものが無くなってしまいました。 現在は、こちら(→■)で紹介している新型シートを装備した機材も多くなってきています。 |
よく知られているお話ですが「トリプルセブン」の開発にはボーイング社と航空各社が意見を交換し合いながら 最高最良の航空機をつくる「ワーキング・トゥゲザー」が実施されました。 この時、全日空が「便座の蓋を閉める時、バタン!と大きな音が立たないようにすることはできないか」と提唱し、 これがきっかけで便座の蓋にダンパーが付けられ、ゆっくり静かに閉まる便座蓋が出来あがったそうです。 もともと便座の蓋はバタン!と閉まるものだと思っていたほかの国々の人には、 この意見はまさに「目からうろこ」だったそうで「日本人らしい細やかな感覚」という評判とともに、 ボーイング側でもこのことを「ワーキング・トゥゲザーの賜物」として大々的に外部宣伝に利用したそうです。 |