1992年2月から導入が始まった全日空のボーイング747-400D。「-400D」の「D」は「Domestic」、つまり国内線専用ジャンボ機のこと。 導入当時は全座席数569席を数え、世界一の座席数を誇るジェット機でした。 この巨大キャパシティを武器に、羽田空港を拠点とした日本国内線のメガラインである新千歳線・伊丹線・福岡線・那覇線へと就航。 狭い国土の日本において、この巨大キャパの飛行機が国内線で日々何十便もしかも満席で飛び、まさに日本の経済流通を支える存在です。 先輩格であるB747SR-100「スーパージャンボ」とともに大車輪の活躍で、日本人に「ジャンボ機=日本の空の象徴」であることを深く印象付けました。 「ジャンボ機」という花形機材であるため、マリンジャンボをはじめとする特別塗装機にも頻繁に選定され、現在ではポケモンジェットで人気に。 また、改造によって国際線機材である「B747-400」へ変身したり、その逆に再び改造によって国内線機材に戻ったりという離れ業もこなし、 さらには2002年の夏の繁忙期に、全ての座席を普通席に改修して総座席数594席という旅客機定員の世界記録も残しました。 現在、全日空では燃料効率に劣るジャンボ機の退役を進めていて、この国内線用のジャンボ機も2015年には完全退役が予定されています。 |
2008年4月から「スーパーシート・プレミアム」は「プレミアムクラス」と名称を変えて、さらなるサービスアップが計られました。 しかし、新型シートへの改修はボーイング767-300型が優先して行われ、B747-400Dへの新型シート改修は後回しとなっていました。 2009年1月にやっとB747-400Dの新シートへ改修された1号機が登場。その後、数ヶ月で全機が改修を終えました。 「プレミアムクラス」ではシートピッチが50インチに拡大された点が大きなサービスアップポイントととして宣伝されましたが、 B747-400Dでは、機首部分のAコンパートに50インチピッチでの座席配置ができず、苦肉の策で45インチ(114センチ)となりました。 そのため、他の機種でプレミアムクラスに乗り慣れていると、どうにも足元の狭さが拭えません。 これまでの38インチ(97センチ)から若干広くなったかな?という程度でしか広さが感じられないのは残念です。 シートはボーイング737-800型に搭載している新型シートを、B747向けにアレンジを加えたものになっています。 新型シートの特徴でもあるパーソナルライトやパソコン用電源は、B747では電気回路の引き回しが出来ないためこれらを省略。 パーソナルライトの代わりに、従来の天井から照らすタイプの読書灯に頼っています。 座席間の「プライバシーディバイダー」と呼ばれるパーテーションスクリーンがけっこう目立ち、これまでの丸いフォルムの座席から スクエアなフォルムの座席になったこともあって、機内の雰囲気はかなり変わったように見えます。 この新型シートの掛け心地などのインプレッションは、正直あまりいい印象が感じられませんでした。 座席は全体的に肉薄なクッションで、座面・バックレストともにかなり固いという印象です。 リクライニングは倒すのに背中にかなり力を入れる必要があり、これは女性客にはかなり力が要るように感じられました。 そのリクライニングも、戻る時はものすごい勢いで戻ってくるので細かい角度調整が難しいです。 フットレストとリクライニングのバランスは壊滅的で、特にフットレストの持ち上がりの角度が中途半端。 フルリクライニングの角度にフットレストが付いて来れていない感じで、ここまでしか上がらないのなら、むしろ不要とさえ感じました。 レッグレストも操作性に難があり、レバーだけでは操作しきれずに結局手で調節したりする必要があり、煩わしいです。 リクライニングなどの操作レバーは3つが集約されているため、1つのレバーがかなり細くて操作し難いです。 またレバーそのものが細いためにピクトグラムもかなり小さく、パッと見て何が動くレバーなのか一瞬で認識できません。 「スーパーシート・プレミアム」時代まで装着されていた丸いフォルムの座席は全体が肉厚で、 腰掛けた時のフカフカ感に上級席としての優越感を感じたものですが、この新シートはコスト削減が見え見えのガッカリシートでした。 最前列の「1A」と「1K」、空間中央の「5D」は1人掛け。いずれも人気の席です。 |
2004年12月にはそれまでの「スーパーシート」から「スーパーシート・プレミアム」と名称を変え、サービスアップが図られました。 これは、ライバルである日本航空が上級クラスサービスを「スーパーシート」から「クラスJ」へと衣替えしたのに伴い、 全日空では「クラスJ」路線を追従せずに、それに対向すべく「スーパーシート」のさらなる高級路線へと特化させる狙いがありました。 座席は全ての機種で基本的に「スーパーシート」時代のままでしたが、座席カバーは次々に真っ青なボトムカバーから 画像のようなカジュアルなボトムカバーに交換されていきました。 キャビンアテンダントの新しい制服に合うカラーリングということで選ばれたようですが、機内空間が明るい雰囲気になった反面、 それまでの重厚な雰囲気が失われてしまったこともあり、この新しい座席カバーについては当時の利用客の間でも賛否両論でした。 シートピッチは基本的に97センチ。これも「スーパーシート」時代のままでピッチ拡大は行われていません。 「スーパーシート・プレミアム」キャビンは、空間が奥に向って窄まる「デルタ形状」になっているので、大変独特な雰囲気があります。 基本は2人掛けシートが並んでいますが、最前列の「1A」席と「1K」席は1人掛け。 前に思いきり足が投げ出せるのと、ぶっちぎりのプライベート感から一番人気の席となっています。 ただ、1A・1K席とも側面壁が曲線を描く位置にあるため、着座位置から窓まで若干の距離感があるキライがあります。 また、この両席は頭上にオーバーヘッド・ストウェッジがなく、荷物は2番列以降の空いたスペースに収納するようになっていました。 座席自体はけっこう大きめの印象。さすが「スーパーシート」時代から使われてきただけあって、余裕のサイズです。 私個人の感想としては、JALのファーストクラスよりもこちらのほうが体にしっくり馴染む感じがします。 リクライニング角度は、さほど大きくは倒れませんが、背面の奥行きがあるので最大角度でもけっこう倒れているような気がします。 (画像は「プレミアムクラス」化後のもの。B747-400Dでは「プレミアムクラス」化後もしばらく「スーパーシート・プレミアム」時代の座席をそのまま搭載していました) |
こちらは「スーパーシート・プレミアム」以前の、かつての「スーパーシート」の頃の画像。 「スーパーシート」の末期のキャビンで、「ANA」のカンパニーカラーである深いブルーのシートカバーが印象的です。 機内食が提供されない時間帯には、お菓子が入ったボックスが配られていました。 現在の「プレミアム・デリ」は、やや中途半端な感じがするため、このお菓子ボックスとの選択制にしてくれればと思います。 |
先頭部Aコンパートの「プレミアムクラス」の後方、BコンパートからEコンパートまでは全席が普通席です。 2階席(アッパーデッキ)は3+3の横6列が基本。メインキャビンは3+4+3の横10列が基本で、普通席は全542席。 アッパーデッキだけも84席が設定されていて、これはプロペラ機の「ボンバルディアQ400」よりも多い座席設定。 言ってみれば「B777-300」が「Q400」を背負ったようなもので、「ジャンボ」の愛称がダテではないことがうかがえます。 座席は79センチ前後のシートピッチ(座席位置により若干ピッチに違いがある)で、お世辞にも「広い」とはいえません。 背面テーブルは倒した後に、若干手前に引くことができ、食事や書き物をするのに便利です。 非常口近くの席では前に席が無いため、テーブルはインアーム収納式となっています。 また、機内誌やインストラクションカードは窓側のポケットに3席分がまとめて入れられていて、通路側だと手を伸ばしにくいです。 当然荷物は全て天井にオーバーヘッドストウェッジに仕舞うほか無く、足を伸ばせる分、若干の不便もあります。 メインキャビンは天井がフラットですが、アッパーデッキは天井が丸くなっていて、独特な雰囲気。 アッパーデッキの客席では、窓と座席の間にショートストウェッジがあり、アタッシュケース程度の荷物が収納できます。 また、階段を上がると目の前にある89AB席も独特な座席配置で、ここはおそらく「ラスト・プライオリティ」。 |
空間活用の限界を極めているのが化粧室。このコンパクトさは、ある種「見どころ」といえるかもしれません。 Bコンパート前方に2箇所、Dコンパート前方に2箇所、Eコンパート後方に4箇所、アッパーデッキは前方に2箇所を設置。 おむつ交換台が付いている化粧室もあり、壁側に折りたたみ式の収納台が取り付けられています。 |
画像はBコンパートメント前方のギャレー。「スーパーシート」用のドリンクや茶菓はここで準備されます。 カートやコンテナが収納がなされた内部は、実にメカニカル「サービスベース」というより「機械室」のようですね。 ギャレーは、機内レイアウト変更や長距離用に設備拡大しやすいように、細かく分割できる構造になっています。 |
1998年6月に登場した「ポケモンジェット」。その後、全日空の特別塗装機シリーズとしてすっかり定着しました。 これまでに5シリーズの特別塗装機が登場し、その全てが「B747-400D・テクノジャンボ」メインにラインナップされています。 各シリーズの就航時期は下記の通り。 ■「ポケモンジェット1998」(JA8965:ほかにB767-300も2機活躍)1998年6月〜2000年 トリトンスキームをベースにポケモンを描いた初代。子供の搭乗率が前年比250%増というとんでもない記録を打ち立てた。 ■「ポケモンジェット1999」(JA8964:B767-300も2機活躍)1999年6月〜2006年2月 ブルーを基調とした、ポケ機初のフル特別塗装機。一般公募により「海のポケモンを空へ飛ばす」イメージがデザインされた。 ■「ポケモンジェット・インターナショナル」(JA8962)1999年2月〜2006年5月 唯一、国際線を飛んだポケ機。欧米路線を飛び、各国の子供達を狂喜の渦に。ポケモンの世界規模での人気を見せ付けた。 ■「ピカチュウジャンボ」(JA8957)2004年5月〜現役就航中 ピカチュウをイメージした、文字通り異色の「イエロー」ベースのポケ機。歴代ポケモン映画の主役がペイントされている。 ■「お花ジャンボ」(JA8956)2004年12月〜現役就航中 一般公募デザインで塗り替えられた最新ポケモン機。これまでの最多の27色の塗料が使われ、カラフルさは歴代イチ。 普通席では、ヘッドレストカバーに「ピカチュウ」がプリントされた「ポケモンジェット」仕様になっています。 また、機内で提供されるドリンクサービスのカップも「ポケモン」がプリントされた特別なもの。 希望者に配布される搭乗記念のポストカードも「ポケモンジェット」が描かれた限定品になっています。 カップやヘッドレストカバーは記念のお持ち帰りリクエストOK。 意外と持って帰るお子様連れが多いので、「ポケモンジェット」搭乗の際にはキャビンアテンダントさんに頼んでみましょう。 (もちろん大人でもお持ち帰りできます(笑)) 一方「プレミアムクラス」では、ヘッドカバーやドリンクのカップは「プレミアムクラス」仕様となっています。 そのため、「プレミアムクラス」利用だと、運良く「ポケモンジェット」に当たっても楽しみが半減かも・・・? (プレミアムクラス利用でも、希望すればポケモンのカップやポストカードはもらえるそうです。) |
ピカチュウが大きくプリントされたヘッドカバー。希望すれば持ち帰りができる。 |
ギャレイの仕切りカーテンも「ポケモン」がプリントされた特別仕様。 |
ちなみに普通席のアテンダントさんもポケモンのエプロンをして、雰囲気を盛上げています。
ギャレイの仕切りカーテンのアップ。 |
ドリンクサービス用のカップも「ポケモン」プリント。過去、数種類のカップが存在したが、現在はこのデザイン。 |
これも希望すれば、新品をおみやげ用に持ち帰らせてくれる。
搭乗記念の定番「ポストカード」も「ポケモンジェット」限定のものがもらえる。 |
現在は「ピカチュウジャンボ」と「お花ジャンボ」の2種類があり、たいてい2種類ともが搭載されている。
過去の「ポケモンジェット」で貰えた、搭乗記念ポストカード。(現在、これらのポストカードは配布終了) |
ANA限定ポケモンゲームカードが当たるなどのキャンペーンもしばしば実施されていた。
2000年くらいまではポケモンジェット専用時刻表も発行されていた。 |
日々の就航路線がこのように公開され、ポケモンジェットを狙って乗ることができた。
専用時刻表の中身。現在はポケモンジェットのスケジュールは非公開。 |
機体のやりくりによる機材変更が発生すると苦情が殺到したため、スケジュール非公開となったと言われている。
ポケモンジェット登場初期、このような軽食が全席でサービスされていた時期もあった。 |
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