ボーイングB737-200の後継機として、1991年2月からエアバスA320を就航させていた全日空。 来たるべく羽田新C滑走路完成と供用開始、さらに関空・伊丹・名古屋の都市ターミナルと地方を結ぶ路線の充実化に対応すべく、 A320のストレッチタイプであるA321の導入を決定。 1996年に10機を確定発注しました。(後に発注機種変更で総数7機に) 1998年4月11日、A321は羽田−鳥取線でデビュー。当初の計画通り、地方ローカル路線の主力「中型機」としての活躍を魅せました。 しかし、ローカル路線は徐々に「大型機で一日に数便」から「小型機で一日に多数便」という多頻度運行が歓迎される時代へ。 A321を他頻度運行に投入するにはキャパが大きすぎ、かといって大型機主力の路線へ投入するには席数があまりに少なすぎ。 彼らを取り巻く社会情勢や環境が激しく移り変わる中で、その荒波の中に巻き込まれる形となった全日空のA321。 結果、早い時期から退役・売却が始まり、最後まで残ったJA102Aが2008年2月29日に最終運行を行って、日本での活躍に終止符が打たれました。 およそ10年という短い活躍の中で、これといった“A321特定運行路線”は無かったものの、その分、様々な路線に投入されて日本各地へと飛んだA321。 B767やA320が織り成す路線のサポート役として、この「名脇役」は全日空の歴史の中に輝かしい功績を残して日本から去っていきました。 |
キャビンは3+3の6アブレスト(一部非常口付近は席配置が異なる)で、全席が普通席です。 デビュー当時は最前方の2列が2+2のスーパーシートとなっていましたが、1年ほどで普通席に置き換えられました。 3人掛けシートの中央席は、窓側席・通路側席より座席幅が広くなっていて、不人気席に“優しい”設計となっています。 オーバーヘッド・ストウェッジはそれまでの機種よりも大型化されていて、通路側へのせり出しがかなりダイナミックです。 通路から窓側席へ着席する際には、「もぐりこんで席に着く」という感じがします。 オーバーヘッド・ストウェッジの下部には、収納式の液晶モニターが装備されています。 3〜4列ごとに1台が設置されていて、出発前の機内案内と巡航中の機内プログラム放映時に、一斉にモニターが開きます。 オーディオ装置は他機種と同じ共通のものが装備されており、イヤホンも同じくチューブ式のもの。 読書灯ボタン・アテンダント呼び出しボタン・スポット空調は、頭上にセットになっています。 特に読書灯とアテンダントの呼び出しには、天井へと手を伸ばしてスイッチを押すので、若干不便を感じます。 キャビンは非常口ごとに3つのキャビンに区切られていて、ラバトリやアテンダントシートでの「区切り」があるため、 A320の派生型とは思えないほどに、とても長い飛行機のように見えます。 |
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トイレは機体中ほど(AコンとBコンの間)に2箇所、機体最後方に1箇所の、合計3箇所。 機体前方にトイレが無いキャビンレイアウトは、日本の旅客機の中ではけっこう異色です。 |
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ギャレイは最前方と最後方の2箇所に。 後方のギャレイはトイレの入り口と並んで面しているので、 まずギャレイを経由してトイレに入る・・・・という感じです。 |