長年、札幌の丘珠空港を拠点に北海道各地へと飛んでいたエアーニッポンのYS-11。 その「北のワイエス」の置き換え用の新型機材として導入されたのが、ボンバルディア社のDHS-8-Q300です。 「Q」は「クワイエット」の意で、客室キャビンの静粛性に優れており、スピードも最高速度がYS-11に比べて50Km/hも速くなっています。 Q300は総勢5機が導入され、2001年に羽田−大島線に1号機が、2号機〜5号機は2002年に丘珠ベースで北海道各地を結ぶ路線に就航しました。 導入時は5機それぞれが就航路線にちなんだ「花柄塗装」を纏っていましたが、2010年までにブランド統一のためANAカラーになりました。 2010年6月、ANAグループの丘珠空港撤退と同時に、Q300は後輩のDHC-8-Q400と入れ替わってベースを伊丹空港へと移転。 羽田ベースの1機は、羽田〜大島線のほか、羽田〜三宅島線にも就航しています。 |
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「DHC-8-Q300」は、ANAグループが保有する機材の中でも、最も小さいフリート数で、最も小さい機体の飛行機です。 機内は、中央に通路を敷いて、その両脇に2人掛けの座席が並んでいます。座席数は56席で、これもANAフリートのなかで最小。 天井はかなり低く、身長170センチ弱の私でも通路に立つと、頭を天井に擦りそうな感覚がします。 窓は、各列ごとに一枚づつの配置ですが、9番・11番・13番列は自席に座ると真横ではなく、若干斜め前に窓がついています。 座席は背もたれがかなり薄いのですが、表面が背中を両脇から支えるような成型がなされているので、意外と快適です。 テーブルは背面収納タイプ。座席そのものが小さいので、テーブル表面積もさほど大きくはありません。 テーブルの下にはポケット。上閉じ部分がゴム式で、かなり伸び縮みするので、ペットボトルの飲料なら難なく差し込めます。 ポケットの中には、安全のしおりと機内サービスメニューとディスポーザルバッグ。 機内誌「翼の王国」や機内販売カタログは、ポケット内に常設されておらず、欲しい場合はCAさんに依頼するようになっています。 肘掛の内側にオーディオパネルがないことからも分かるように、機内では音楽サービスやビデオ放映サービスはありません。 後方ゾーンの12番列席は非常口席。足元のシートピッチが他席より若干広いのですが、窓側には肘掛がありません。 また、前列の11番列席はリクライニングができない席となっています。 天井にはハットラックタイプの荷物棚があります。見た目より奥行きがあり、口も広いのですが、大きなキャリーは入りません。 Q300の充当便では、手荷物の機内持ち込みに制限があるので、出発前に荷物の大きさをチェックしておいたほうがいいでしょう。 荷物棚の下には、読書灯とスポット空調とアテンダントコールボタンがあり、自席から手を伸ばして使います。 機内に入ってすぐ目の前には、旅客機では珍しいボックス配置のシートがあります。 座席番号は「1C・1D」と「2C・2D」席。「1C・1D」は最終指定座席となっていて、通常の事前予約で指定することはできません。 また、機体が小さいプロペラ機であるため、予約の時点での事前座席位置選択にもかなり制限が付けられています。 トイレは、前方のみに1ヶ所。トイレ内はかなり狭く、トイレの中で方向転換のためにぐるりと回るのも一苦労。 ギャレイは、最後方に1ヶ所。機内サービスはジェット旅客機に比べて最小限に抑えられています。 「ANAマイチョイス」も一部商品のみ販売となっていて、搭載個数も多くないので希望商品は早めに注文した方が良さそうです。 |