JR九州 783系ハイパーサルーン
特急「みどり」「ハウステンボス」「きらめき」「にちりんシーガイア」「にちりん」「ひゅうが」「きりしま」






1988年、JRグループの初の新系列・新型特急として大きな注目を浴びて登場したJR九州の「ハイパーサルーン」
その後は年々増備がなされ、「有明」「かもめ」「にちりん」の、当時のJR九州3本柱の特急に投入されました。

1992年の787系「つばめ」登場後、車内インテリアの格差を縮めるために、登場後わずか6年後の1994年からリニューアルがスタート。
内装・外装とも787系のイメージに近づけたものに改装がなされ、2年後の1996年に全編成がリニューアルを完了。
さらに、2000年には「ハウステンボス」「みどり」への投入に伴い、それぞれの専用カラーを纏ったリファイン編成が登場しました。

2011年3月の九州新幹線全線開業のダイヤ改正で、783系は787系に置きかえられる形で基本的に特急「かもめ」からは撤退。
「かもめ」用の編成は特急「にちりん」「ひゅうが」「きりしま」へ投入され、活躍の場を南九州へと移しています。







グリーン車






ハイパーサルーンは各車輌の中央にデッキを配置して、1車輌で「A室/B室」と客室を2つに分けています。
そのため、ひとつの客室で座席が数列しかないのが特徴的。グリーン室も「小部屋」といった感じです。
客室の全景画像は、客室の真ん中から撮ったものではなく、デッキ仕切りドアから「全景」として撮影したものです。
これを見ていただいても分かるとおり、1部屋が非常にこじんまりとしています。

車内は大型シートが2+1の配置で4列並び、総座席数は12席。シートピッチは、1,200mmとなっています。

座席はおおまかに2種類が、各編成に混在しています。背ずりのヘッド部分が真四角のものは1988年に登場した1次車のもの。
背ずりの肩の部分が切り落とされて、ヘッド部分が突出したようなものは、1989年に増備された2次車から登場しました。
肩の部分が落とされた理由は、後方席でも前方への視界を広げて前面展望が楽しめるようにという配慮からのもの。

登場当時は座席背面に液晶テレビを装備して、センターアームレストにはオーディオユニットが取りつけられていました。
これらのAVサービス機器は、1993年に撤去。一部の座席では、テレビを撤去した跡が小物入れとして残っています。


「ハイパーサルーン」のグリーン車の中で、特急「みどり」に使われる編成だけは他編成と大きく異なっています。
特急「ハウステンボス」との分割併合運転のために、中間車を貫通先頭車に改造し、そこにグリーン席を設置しました。
貫通型の先頭車となっているため、「ハイパーサルーン」のウリである展望グリーン車にはなっていません。
また、元が中間車のため、床面がフラットになっていて、他編成のようなセミハイデッカー仕様になっていません。
そして普通車にむりやりグリーン車のシートピッチを持ちこんだため、一部に窓割りが全く合わない席があります。

両端とも普通車時代のままの位置で自動ドアが残るため、ドア寄りの席にはカーブガラスのパーテーションが設置されています。
ドアから入ってきた乗客と着席している乗客の目線のバッティングを防ぐためで、このあたりの配慮はさすがJR九州です。







普通車




普通車は2+2の座席配置。車内の床面は、全面カーペット敷きとなっています。シートピッチは960mm。
前述の通り、車両の真ん中にデッキを設置して、客室はA室/B室の2室構造に仕切られています。
1994年のリニューアルでは、A室は原色でカラフルに、B室はブラックでモノトーンに、と1つの車両で全く違う雰囲気の客室も登場。
そのほかにもブルー系・ブラウン系・グリーン系と様々なカラーモケットが配されています。

1989年2次増備車から、なんと普通車座席にもオーディオパネルが設置され、グリーン車同様に音楽サービスが楽しめました。
さらに足元には、フットレストを装備。回転式で、素足で載せられる面には生地貼り。さらに高さ調節もできました。
これらは残念ながら長く続かず、1993年から順次撤去。オーディオパネルは目に見える形で、跡が残っている車両も見られます。
フットレストは787系普通車タイプのT字型のフットレスト・バーに交換されました。

現在ではオリジナルタイプの座席を降ろし、485系の廃車で発生した「RS380」型シートに交換された車両も増えています。







サニタリー


ハイパーサルーンのトイレコーナーは、出入り口側ではなく車両と車両の連結側に設置されています。
トイレは男性用個室と女性用個室があり、どちらも個室内に洗面台がビルトインされています。
男性用も女性用も洋式となっており、男性の小用や和式は設置されていません。
内装は787系「つばめ」と同じくアルミパネルで覆われた独特な雰囲気。暗くて汚い「トイレ」のイメージは全然ありません。
洗面台の下には、着替えなどで使える踏み台が収納されています。ラッチを引くだけで簡単に引き出せ、誰でも使えます。







デッキ コックピット

    

「かもめ・にちりん」「ハウステンボス」の各編成の1号車デッキには電話ブースが設置されています。(「みどり」編成には電話設備無し。)
2次増備車から「カフェテリア」付きの車両が登場しましたが、現在「カフェテリア」はすべて撤去済み。
「カフェテリア」の跡は、木製カウンターのあるコモンスペースと、車内販売準備室に生まれ変わっています。

「ハウステンボス」「みどり」編成の乗降ドア脇にはエンブレムが取り付けられていましたが、2005年のルーバー板脱落事故発生後に撤去。
エンブレムがあったところは、現在ステッカー式のエンブレムシールが貼られています。

783系「ハイパーサルーン」の補完情報がある座席探訪「プラス」はこちらから。










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