1995年の681系量産車の登場後、特急「雷鳥」系統の列車は数年以内に一気に新型車化が進むかと思われましたが、 北陸特急の新型化は、思いのほかのんびりペースでした。 2001年、久々に増備された「サンダーバード」車両は、681系ではなく683系という新形式で登場しました。 681系量産車登場から6年という時間を経て、様々な面で681系の頃よりレベルアップした技術を取り入れつつ、 既存の681系とも混成できる汎用性も兼ね備え、いわば「681系・バージョンアップタイプ」と言える車両になっています。 2003年には特急「しらさぎ」「加越」の完全新型化に向けて、JR西日本は683系2000番台車輌を大量に増備。 さらに2005年には、北越急行社もレッドの帯を巻いたオリジナルカラーの683系8000番台車輌を特急「はくたか」用に導入。 683系はいまや北陸本線の主力特急のメイン形式となり、北陸の顔といえるほどの存在へと飛躍しました。 |
683系は設計の基本が既存の681系との混結組成・共通運用を前提としているので、 客室・デッキ・サニタリなどの車内インテリアは、681系のアコモデーションから大きく変わってはいません。 グリーン客室は681系同様にダークブラウンの大型シートを3アブレストに敷いています。 座席は681系のシートがヘッド部分のピローにかかる部分のバックレストを別パーツで構成していたのに対し、 683系では“1枚板”になり、全体的にややのっぺりした印象を受けます。 しかし、実際に座るとバックレストにもたれた時にのっぺりさはなく、681系の座席よりホールド感に優れています。 腰部分の詰め物がやや大げさで、ランバーサポートにしては張り出しすぎなように感じました。 人によっては、この張り出し具合が気になるかもしれません。 座席周りの付帯設備は681系に比べてかなり簡素化され、シートテレビやオーディオ装置は登場時から未搭載。 683系ではプチカフェテリアも廃されたので、車内販売員のコールボタンもなくなりました。 様々な付帯設備を誇った681系のグリーン席が、683系に合わせられて撤去されてしまったのは大変残念でした。 座っていてふと気が付いたのですが、この座席は金属剥き出しとなっている部分が最小限に抑えられています。 それこそ目に付くのはインアームテーブルの支え部分と、フットレストの生地張り押さえ部分ぐらい。 アームレストの先端や前の席の背面全体までがモケット張りとなっていて、手がいく部分全てが「柔らかい」感触。 些細なことですが、隠れた「快適性」ってこういうとこにあるのかもしれません。ちょっとJR西日本が好きになった瞬間でした。 |
「はくたか」運用に入る683系は、今のところ北越急行社の「スノーラビット」683系8000番台、1編成のみです。 ほくほく線の長大トンネル内での高速運転に対応した「車内気圧変動」を抑える特殊装備の関係から、 「サンダーバード」用の683系が「はくたか」に入ることは基本的にありません。 「スノーラビットエクスプレス」のテーマカラーである「クリムゾンレッド」を意識してか、 「はくたか」用683系のグリーン席モケットは、「サンダーバード」用683系より赤みの強いブラウンになっています。 |
681系では普通車のカラーコードを2種類の設定としていましたが、683系でも同様に踏襲されました。 ただ、奇数号車にサーモンピンク(681系は偶数号車)、偶数号車にグレーブルー(681系は奇数号車)としています。 シートは681系量産車と同じホールド性に優れたもの。シートピッチも970mmを確保しています。 座席自体は681系とさほど変わりはありませんが、座席周りの客室付帯設備が681系と比べて変更されています。 窓枠の張り出しが大きかった681系に比べて683系では枠が小さくなり、窓側席の肘掛け空間に余裕ができました。 頭上の補助照明は、常時点灯から個別にオンオフができる読書灯へ。電光情報表示装置はLED3色発色になっています。 また、683系では基本編成のほか、付属編成3両編成にも車椅子対応席を設けていて、 富山・和倉温泉発着の分割併合列車は、どちらに乗ってもバリアフリーサービスが受けられるようになりました。。 |
「はくたか」用683系8000番台の客室内基本設備は、「サンダーバード」用683系と大きな差異はありません。 グリーン席でもそうでしたが、奇数号車の「サーモンピンク」モケットの赤みがかなり強調されています。 |
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サニタリースペースは3・6・8・11号車を除く号車の、基本的に富山方に。681系のサニタリー設置位置に合わせられています。 車椅子対応サニタリは4・9・12号車に。9号車は通路を片側に寄せた、特に大きめの個室となっています。 電話ブースは2・5・7・10号車、飲料の自販機はサンダーバード編成は4・8号車、はくたか編成は3・4号車にあります。 683系では、デッキの乗降ドア開閉時にチャイムが鳴るようになりました。 また、客室仕切りドアはすべてタッチ開閉式になり、デッキに人が溢れても無用にドアが開くことが無くなりました。 運転席の速度計は最高速180km/hまで刻まれています。 はくたか用683系はキャリパ式ブレーキを装備し、最高速160km/h運転を可能としていますが、 サンダーバード用ではこれを準備工事に留め、現段階では最高速130km/hとなっています。 |