上越・吾妻線方面の特急には、長らく国鉄型の185系が活躍してきましたが、2014年3月に651系へ置き換えられました。 651系は常磐線専用車両として主に「スーパーひたち」に使用されてきた車両ですが、常磐線に新型のE657系が登場したことで、上越線特急へ転出となったものです。 外観塗装は「スーパーひたち」ほぼそのままに、窓下にオレンジ色のラインが追加され、上越方面の特急としてオリジナリティを表現。 車内の内装や座席も特に大きな改造なども行われていませんが、185系時代に比べると大幅なグレードアップとなりました。 「草津」号は草津温泉へ向かう観光客、「あかぎ」号では群馬と上野を往復するビジネスマンと、列車ごとに異なる客層を運ぶ万能特急車両として活躍しています。 |
グリーン車は、特急「スーパーひたち」時代に好評だった大型のハイバックシートが、横3列・シートピッチ1,160mmで並んでいます。 中央線・常磐線・東海道線の特急のグリーン車は、軒並み横4列配置になってしまったので、「草津」「あかぎ」では贅沢な空間での移動が楽しめます。 JR化後の第一世代である651系は、同世代の251系・253系とともに豪華なグリーン車設備が話題になりましたが、 同世代の新型特急車両は、ほとんどが引退または大改造によって姿を消してしまいました。 現在、JR東日本の新型特急の一番手であった651系がこうしてほぼ原形のまま定期特急として残っていることは、実は非常に貴重な存在です。 651系が登場してからの経過年数を考えると、上越線系統での活躍も先が長く約束されたものではなく、今のうちの乗車がおすすめです。 |
普通車は横4列のフリーストップリクライニングシートが、シートピッチ970mmで並んでいます。 185系時代はシートピッチが910mmで、リクライニング量もわずかだったので、こちらも以前に比べるとかなりグレードアップされた環境となりました。 普通車にも関わらず荷物棚下に読書灯が装備されているのは、JR化直後に誕生した第一世代の車両ならでは。 3号車にある車椅子対応席やバリヤフリー設備も、在来線特急車両では651系で初めて具現化されたものです。 平日のみ運行の全席指定特急「スワローあかぎ」は、現在のE657系「ひたち/ときわ」やE353系「あずさ/かいじ」の全席指定スワローサービスの先駆けとなった特急ですが、 E657系やE353系のような荷物棚下のランプ点灯による「指定済み/未指定/まもなく指定区間」のスワローランプ表示サービスは行われていません。 651系の経年を考えると、スワローランプ表示の改造が行われる可能性は非常に低く、今の「スーパーひたち」時代の面影のままで引退していくものと思われます。 |
トイレはほぼ2両おきに、男性用トイレ・洋式トイレ・洗面台がデッキにまとまって併設されています。 3号車のトイレは車椅子対応の大型トイレとなっていますが、現代の新型特急車両の設備と比べると、黎明期らしい試行錯誤の設計であることが感じられます。 デッキドアを客室側はマスタードイエロー、デッキ側をグランドブルーで塗った空間区分の演出も、「スーパーひたち」時代のままに、今となっては懐かしいもの。 |