JR東日本 583系 国鉄型寝台昼行兼用特急電車

(2016年頃の秋田所属のN1+N2編成)


 

日本で最後まで営業運転可能な583系として残った、JR東日本秋田支社のN1+N2編成。

1967年に581系電車が登場してちょうど50年目の2017年。
世界初の「昼間は座席・夜は寝台」という構造を持ったこの電車は引退を迎えました。
これにより、かつて日本の高度経済成長を支えた昭和の、そして国鉄の歴史を代表する名車両がまたひとつ消えることになりました。

引退直前の2016年秋ごろに、団体専用列車に乗車する機会があり、その時に撮影した車内の様子をご紹介します。
おそらく、引退時の車内の様子や設備は、ここで公開する画像のままだったと思われます。










     
     
     
     
         
     
     
     



秋田支社に残った日本最後の583系。6両編成で全車両が寝台と座席の転換が可能な普通車でした。

末期の頃は、観光目的の団体専用列車として運転される際は、車内の片側がボックス席・片側が寝台でセットされることが多かったようです。
583系が定期列車で走っていた頃にはまず見ることは無かった客室形態で、583系の幅広い利用方法を現実に実践した、趣味的に非常に興味深いワンシーンです。
寝台は大部分の区画が3段寝台で、寝台内に入ると、座る姿勢を取ることままならないほどヘッドクリアランスがキツかったため、
この「座席/寝台同時展開状態」での運転は、旅行参加者から非常に好評だったそうです。

寝台には、ゴロンとシート仕様で運転される際は寝具は用意されませんでしたが、団体専用列車で運転される際には寝台にシーツが敷かれ、
マクラと毛布、浴衣とハンガーがちゃんとセットされて、583系が寝台特急として最も輝いていた頃の誂えがなされていました。

寝台仕切りのカーテンは車両ごとに色が異なり、ベージュ・ブラウン・イエローなどのカラフルな柄が、無骨な車内の印象を和らげていました。
カーテンは、寝台内側にマジックテープになっている部分があり、ここを剥がすと通路側に穴が開き、通風・換気ができるようになっていました。
カーテンは寝台の左右から閉じることができ、継ぎ目になる部分は左右のカーテンが重なるようになっているので、隙間から寝姿を覗かれる心配はありません。

寝台機構自体には手が加えられていないので、寝台サイズは登場当時のままを固持しています。
上段は、長さ190cm・幅70cm・高さ68cm
中段は、長さ190cm・幅70cm・高さ68cm (パンタグラフ下の中段は、長さ190cm・幅70cm・高さ103cm)
下段は、長さ190cm・幅102cm・高さ75.5cm


ボックス席はゆとりのある間隔で、大人が合い向かいに座っても、あまり窮屈さは感じません。
座席のモケットは、仙台支社に所属していた時代に郡山工場で大掛かりな修繕補修工事が行われ、その際にデビュー当時の青モケットが復元されました。
窓下には、窓側席の乗客の肘掛となる窪みがつけられ、中央には固定式の細長いテーブルが付けられています。
通路側席の乗客もテーブルが使えるように、肘掛内側にテーブルが収納されていて、手前に引き出してテーブルアームごと回転させると、固定される仕組みになっています。








洗面台 デッキ コックピット

     
     
     
       

デッキの乗降ドアは独特な折り戸で、内側に折れて畳まれる構造になっています。
そのため、乗降デッキの段差の一部はドアの折れる動線に沿って切抜きがされていて、乗降時に気をつけないと足を踏み外して転びそうになります。
厳冬時にはドアの隙間から吹き込んだ雪でドアが凍り付いてしまい、ドアが開かなくなってしまうことがたびたび発生したため、
ドアレール部分には熱線が仕込まれています。そのため、熱線を可動させている時はデッキ周辺は熱気がこもり、ステップ部分は非常に熱くなります。
その熱さに注意喚起をするため、デッキのステップには「あつい!」と大きなステッカーが貼られています。


各車両の乗降ドアとは反対側のデッキには、洗面台2機とトイレ2室が設置されています。
洗面台は、登場当時は3台でしたが、1990年代のリニューアル工事で2台となり、各シンクが拡大されたほか、蛇口がセンサーのよる自動給湯になっています。
トイレは、リニューアル工事で当時残っていたグリーン車車両は洋式トイレに交換されましたが、それ以外の車両は和式トイレが残存していました。
結局、その後の補修工事でもトイレは和式のままで残り、そのままで引退となりました。







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