JR東日本 485系 お座敷電車「ニューなのはな」



千葉エリアで活躍していたお座敷電車の初代「なのはな」は、165系急行型電車からの改造車両でした。
165系では直流電化区間しか走れないという制約があったため、1997年に登場した2代目お座敷電車「ニューなのはな」は交直両用の485系から改造がなされました。

下回りは秋田や勝田で活躍していた車両を流用し、ボディは先に登場していたお座敷電車「華」と同じデザインの完全新製のものに載せ替え改造で誕生しました。
車内は畳敷きのお座敷仕様を基本としながらも、畳を起こすと座席の背もたれになり、ボックスシートとしてもセットできるという、過去前例の無いデュアル仕様。
普段は団体貸切列車と活躍する一方、週末や連休などの繁忙期などにはボックスシートで臨時列車として走るという大車輪の活躍をみせました。

2016年夏季が最後の活躍となり、房総各方面や伊豆方面への臨時お座敷電車として定期運転を終了。
ラストランは、団体臨時列車でのさよなら運転で完全引退が決定しました。













お座敷仕様にセットされた車内は、中央通路部分が掘りごたつとなり、窓側に同じ幅で座席の背もたれを分割すると現れる畳敷きを敷き詰めた内装となります。
掘りごたつの座面高さは380mmで、大人でもゆったりと腰掛けて足が投げ出せるように、ゆとりのある設計となっています。
テーブルは中央通路へのへこみに沿って、かぎ型に固定されるようになっていて、着脱式のテーブルとはいえ強固に固定されるので安定感があります。

荷物棚は、ボックスシートで客席を展開した時の高さで設置されたので、お座敷仕様の時は荷物棚の高さに余裕が無いため、棚は全て折り畳まれます。
同じ485系お座敷電車の「宴」「華」「リゾートエクスプレスゆう」では、テーブルを片側へと寄せて展開して、もう片方の窓下に荷物ボックスを設置していますが、
この「ニューなのはな」は、中央通路部分の凹みを掘りごたつにしているので、テーブルを片側に寄せられないため、窓下の荷物ボックスは設置されていません。
乗客は荷物を自席の座椅子の後ろに置くことになり、また同時に車内移動は、座椅子と壁側の間の狭い空間に荷物が置かれた中を行き来することになるため、
お座敷が満席の時は、車内は非常に乱雑な印象となり、また車内の移動やトイレなどへの行き来も動きにくい状態となります。

お座敷客室とデッキ通路への間には、通路部分に小上がりが設置されます。
デッキ通路側にはスリッパが何足が用意され、トイレへ行く際や車両間の移動の時には、いちいち靴に履き替えなくても済むようになっています。
靴は、団体列車では客室手前にある壁面の中にある靴箱にしまいますが、臨時列車の場合はデッキにビニール袋が吊るされ、これに靴を入れてお座敷に持ち込みます。



















2号車の片側は、常にボックスシートが4区画16席分が設置され、お座敷が展開できないようになっています。
これは、ボックスシート部分の天井にパンタグラフが設置されていて、お座敷仕様時の天井の高さが充分に取れないため、このようになっています。
「ニューなのはな」では、トンネル断面の制約が多い中央東線へも乗り入れられるように、パンタグラフ取り付け部分が低屋根仕様となっています。
(同じく4号車にも低屋根パンタグラフ部分がありますが、こちらはミーティングスペースと称した個室が設置されています)















ボックスシートは、通路を中央にして、その両脇に4人向かい合わせのクロスシートが整然と並ぶ仕様。
かつての急行型電車165系や455系などに乗車したときの記憶を呼び覚ませてくれるようです。

ボックス間のシートピッチは、大人が4人向かい合わせるとさすがにちょっと狭く、膝がギリギリぶつからないかな・・・という感じ。
往年の583系のボックスシートと比べると、座席間の余裕はなく、背もたれも立っていて、長時間乗るのはキツそうです。



個人的な見解ですが、おそらく全体的な設計は「お座敷」で使う時の仕様を基にされているのではないかと感じました。

(1)まず、天井の高さからお座敷をセットしたした時のフラットな床の高さをまず決めて、
(2)ボックス席の背もたれとなる部分の高さは、床面の畳となる部分の大きさを換算して、それを2分割した数値で決めて、
(3)座面の高さは、掘りごたつとなる時の適正な座面高さをまず数値化して、そこから背もたれの厚みを引いた高さで決めて・・・・

で、完成したボックス席は、座面の高さがなんとなく低いため、座ると腰がやや引けたような体勢になるのに、背もたれは妙に高さがある。
全体的に、頭でっかちなアンバランスさがなんとも言えない、不思議な雰囲気を醸し出しているように見えるのです。



通路側の肘掛は、背もたれ方向に収納することができますが、もともと細く小さなサイズの肘掛なので出したままでも邪魔には感じません。
窓側席には肘掛は無く、肘部分が逃げられるように窓下のパネルに凹みがつけられています。

テーブルは、窓下にある逆台形のパネルのようなものを引き出して、テーブル裏のパイプをフックに引っ掛けて固定します。
このテーブル、多くの区画でボックス側に向けて傾いたように固定されるので、テーブル面が水平になりません。
滑り止め加工なども施していないので、飲み物などを置いておくと列車の揺れで滑って倒れそうになるのでヒヤヒヤします。
大きさも窓側席の人専用という感じで、通路側席の人はテーブルに手を伸ばしにくいので、あまり使い勝手は良くない様に思いました。

ちなみに、いつからか毎年夏の恒例となった内房から外房を走る「リゾートあわトレイン」という臨時快速列車ではこの「ニューなのはな」が使われ、
車内の一部は、中央通路を挟んで片側がボックスシート、片側がお座敷という、この列車のギミックを存分に発揮したセッティングがなされます。

「ニューなのはな」は「クロ」「モロ」と全車両がグリーン車のしての形式番号を与えられていますが、グリーン料金はお座敷仕様時のみ適用され、
このボックス席で運転される際はグリーン料金は加算されず、普通車料金が適用されます。












サニタリー デッキ 運転台





デッキと客室の間には、全ての車両に短いアプローチ部分があり、ここにカラオケ装置や冷蔵庫・靴箱などが収納されています。
指定券が一般販売される臨時列車で運転される時は、これらの設備は開放されません。

特殊な設備としては、2号車に多目的室が、4号車にはミーティングルームと車内販売準備室がそれぞれ設置されています。
4号車の車内販売準備室の前には、壁に木製の小さなテーブルがありますが、これはかつてここにカード専用公衆電話があった名残です。
また、1・3・6号車の洗面室の反対側には、プラスチックパネルで覆われた縦長の箱がありますが、これは飲料の自動販売機が設置されていた跡です。

トイレと洗面室は1・3・6号車の、乗降口とは反対側のデッキにそれぞれあります。
洗面室は各1ヶ所。手を洗面台にかざすと自動給水され、給湯温度もノブをひねると変えられるようになっています。
トイレは各2ヶ所。すべて洋式トイレとなっていて、個室内には小さな手洗い台も付いています。

「ニューなのはな」と同じデザインのお座敷電車の「宴」「華」「やまなみ」「せせらぎ」などでは、運転室の直後は展望サロン室となっていますが、
「ニューなのはな」では「展望サロン」は設置されておらず、運転室直後は乗降デッキとなっています。
運転室はガラス張りとなっているので、乗降デッキから前方(後方)パノラマ展望が楽しめます。












JR東日本 485系 お座敷電車「ニューなのはな」 シートマップ 座席図







←館山・安房鴨川・銚子                                        両国・新宿→

【1号車】



【2号車】



【3号車】



【4号車】



【5号車】



【6号車】
















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【6号車】





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