![]()
名古屋と長野を結ぶ特急「しなの」は、1953年に準急として登場し、1969年にキハ181系投入で特急に格上げ。 |
その後、1973年から381系振り子式車両が導入されて、カーブの多い中央西線の高速化に寄与してきました。 JR東海では、1989年登場のJR四国2000系の制御付き振り子車両の成功を元に、 同じく制御付き自然振り子式の新型車両「383系」を、特急「しなの」向けに開発しました。 1994年8月に先行量産車がロールアウトし、各種試験走行の合間に臨時「しなの」で営業運転を開始。 1996年からは量産化に着手し、同年12月に全ての定期「しなの」が383系化され、国鉄型381系は運用を終了しました。 383系は振り子運転での高速化のために、軽量ステンレスボディを採用し、先頭部のみ普通鋼となっています。 そのため、外観のデザインは、先に登場した371系特急電車よりもキハ85系ディーゼル特急に近い印象になっています。 最高速度は130Km/h、カーブでの曲線通過速度は最大で本則+35km/hという、凄まじいモンスタースペックの持ち主です。 6両編成を基本としていて、多客時にはそこに4両や2両の付属編成を追加して、柔軟な増結対応を行っています。 今後、後進の385系の開発・製造がJR東海から告知されており、383系の活躍は残り少ないものとなりそうです。 1995年 グッドデザイン賞受賞 1996年 鉄道友の会ローレル賞受賞 (撮影時期:2005年・2006年) |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
グリーン車は下り長野方の1号車に、基本的にはパノラマ仕様のグリーン車が連結されます。 振り子車両で車体左右のバランスを取るためか、座席は2+2の横4列を設定。(おそらくは繁忙期の乗客の取りこぼしを防ぐための座席定員増の施策だと思いますが) そのため、同時期の登場した新型特急はJR東日本を除くJR各社は、まだ3列グリーン車を続々と登場させていた時期なので、 横4列となると「グリーン車らしいゆとりある高級感」が失せてしまった感じもありますが、 この383系のグリーン車の座席は、実際に利用してみるとそんなにチープな設計になっていないことに気がつきます。 背ずりは背の高いハイバックシートで、もたれ掛った時に腰から背中、頭まですっぽり余裕で支えてくれます。 座面は、371系の時のようなズボズボ沈み込む柔らかさではなく、弾力ある適正な沈み感で、なかなかの優れもの。 リクライニングはフルで倒さなくても、そこそこの角度で臀部にもフィット感が得られる姿勢になれ、開発時にかなり考え抜かれて作られた製品なのが伝わってきます。 テーブルは背面収納とインアーム収納の2種類を装備しています。 背ずりの上部には、高速走行時に通路を歩く時の手掛かりとなる手すりハンドルが装備されていますが、座っている人の頭の上部に手が行くので、感覚的にとっさに掴みにくい。 パノラマグリーン車の最前列は、運転室と客室の仕切りが全面ガラスとなっているので、1ABCD席なら迫力の高速振り子運転のパノラマが楽しめます。 シートピッチは、標準ピッチ1,160mmよりもやや広い、1,200mmとなっています。 ちなみに天井照明は、383系が一時期、夜行急行「ちくま」にも投入されていたことから、夜間走行時に対応した減光モードにも対応しています。 |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
普通車はグレー系のシートモケットに、壁はホワイトが基調となっていて、ビジネスライクな雰囲気となっています。 座席の背面には、折り畳みテーブルと網ポケットを装備。2号車に車椅子対応席が設置されています。 383系「しなの」には過去数回、旅行時にお世話になってますが、座った時の足元の余裕にはハッとさせられます。 それもそのはず。シートピッチは1,000mm。関東圏の特急ではまずお目に掛かれません。 全国的に見ても、普通車で1,000mmピッチを確保するスタンスを取っているのは、JR九州とJR東海ぐらいでしょうか。 座席自体は、こちら普通車もかなりよく出来ているほうで、山中の振り子バリバリ全開走行時にもしっかりと体をホールドしてくれます。 座席背面の下部にあるフットレストは跳ね上げ式ですが、足を乗せていないとビョンと戻ってしまいます。 |
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
サニタリーコーナーは基本編成の場合、1号車・3号車・5号車の奇数号車各デッキに設置されています。 洗面台と男性用トイレ、男女共用トイレで構成されていて、共用トイレは1・5号車が洋式、3号車が和式となっています。 このうち、1号車の共用トイレには折り畳み式のベビーベッドが設置されています。 トイレや洗面台のデザインは、キハ85系・371系・373系に通じるものがあり、トータルデザインとなっているようです。 |
![]() ![]() |
各車ともデッキ寄りに、大きめのバゲージ収納スペースを備えています。冬にはスキー板やスノーボードの収納場所として活用されています。 |
![]() ![]() |
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
2号車のデッキには、カード式公衆電話コーナーと車内販売準備室があります。(カード式公衆電話は後年のサービス終了で撤去されました) この車内販売準備室ですが、壁を折り畳んで収納すると対面での販売カウンターが展開できる仕組みを備えています。 1号車のデッキには多目的室が設置されています。 4号車には自動販売機が設置されていましたが、こちらもサービス終了で撤去されました。 この自動販売機、商品の取り出し口が高い位置にある、当時の車内自動販売機では珍しいタイプでした。 |