さらなる高速運転のため、頭から尻尾まで平屋建てとなった300系新幹線。 100系で培った2階建て車の「ゆとり」をあっさり捨て、食堂車も個室もカフェテリアもなくなりました。 「のぞみ」がこの車両を使って1日2往復の運転を開始した頃は、このグリーン席では航空機の「機内サービス」を思わせる 専任パーサーによるオリジナルミールボックスのシートデリバリーがあったりしたのですが・・・。 やがて「のぞみ」が増発に増発を重ね、「ひかり」よりも本数が多くなった今、あの頃のサービスは「懐かしの思い出話」。 グリーン席は、ブラウン基調の落ち着いた雰囲気。シートピッチは、1,160mmとなっています。 中央肘掛の内側にはコントロールパネルがあり、オーディオサービスの操作と読書灯のオンオフが一体となっています。 テーブルは外側肘掛の中から取り出すインアーム収納型。座席背面にの折り畳みテーブルは設置されていません。 テーブルは肘掛から引き出した後にもう1段階広げることができ、座席幅いっぱいにテーブルが広がります。 このあたりは、旅客機のスーパーシートなどの座席のテーブルともよく似ています。 座席は、グリーン席にしては比較的「ライト」な掛け心地。 あまり深く体が沈むような感じはなく、人によってはフルリクライニングでも「あれ?」とちょっと物足りなさを感じるかも。 足元にはフットレストがあります。画像は後期の増備車両に取り付けられた大型のもの。 初期型の車両には、これより一回り小さいタイプのフットレストが取り付けられていたようです。 |
普通車も、グリーン車同様にブラウン基調のインテリア。 目にも落ち着きを感じさせる雰囲気ですが、ここまでグリーン客室とそっくりなカラーコードの新幹線普通車も珍しいような気がします。 客室内は、もちろん2+3の横5列配列。シートピッチは1,040mm。テーブルは背面収納式を装備しています。 3人掛けの真ん中の席(B席)はほかの席に比べ4センチほど幅が広げられています。 100系後期車では普通車全席にも跳上式のフットレストがありましたが、300系では最初の編成からフットレストは装備されていません。 高速運転への軽量化対策をモロに被ったかのようで、普通車の座席はパッと見ただけで全体のフォルムは大変華奢。 アームレストをはじめとする「支え」になる部分の線が細く見え、弱々しささえ感じてられます。 座面・背ずりともクッション材はギリギリまで薄くなっているようで、走行時の台車下からの騒音と突き上げ感も相当なものです。 このあたりの酷い騒音と振動はそのまま「苦情」へと繋がり、その後に異例の「乗り心地改良対策工事」が施されました。 このため、300系は「ハード面の向上」と「ソフト面の低下」のイメージが利用者に強く印象に残った新幹線車両であったように思います。 JR東海では、その後に登場する700系・N700系では乗客が直接触れる部分での快適性の向上に努める姿勢へと変わっていきました。 |
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多くの利用者に「新幹線も新しい時代に変わったんだなぁ」と思わせたのが、この“サービスコーナー”ではないでしょうか。 0系〜100系と続いてきた「食堂車」が姿を消し、「カフェテリア」すらも追従しない、小さなカウンタがあるだけのこのコーナー。 移動しながら暖かいおいしい食事を摂ることに、JR東海が完全な終止符を打ってみせたことに驚かされました。 これによって300系の印象が、さらにビジネスライクでクールなものになってしまったのは言うまでもありません。 グリーン車の両端となる7号車と11号車にこのコーナーが設けられていました。 これは、「のぞみ」登場直後に行われていたグリーン乗客へのケータリングサービスをスムーズに行うためと、 普通車からグリーン室への乗客の流入を防ぐための、一種「関所」のような役割を持たせたため。 「のぞみ」の大幅増発となった2003年10月ダイヤ改正でこのサービスコーナーでの対面販売は廃止。 (グリーン車へのケータリングサービスはもっと大昔に終了していました) 当時「のぞみ」運用を分けていた500系共々、カウンター撤去と車内販売準備室の設置工事が進められ、サービスコーナーは終焉を迎えました。 サニタリーコーナーは奇数号車の東京寄りデッキに統一されて設置されています。 11号車の洋式トイレは車椅子対応になっていて、間口・個室内とも広くなっているのが特徴。 デビュー当時は、各偶数号車のデッキに電話コーナーが設置されていましたが、 現在は携帯電話の普及によって公衆電話が使われなくなったこともあり、次々と撤去されています。 |