JR西日本285系寝台特急形電車 -SUNRISE EXPRESS-
寝台特急「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」



次の時代に向けた、新しい寝台列車のスタイルとして登場した285系寝台特急電車「サンライズエクスプレス」。
個室を中心にした構成で、サロンコーナーやシャワーブースなどのユーティリティも充実させています。
「対航空機」に有利な時間帯を走る「瀬戸」号と「出雲」2・3号がサンライズエクスプレスに置き換わりました。

車内は通路から客室内に至るまで、木の温もりを感じさせる木目調のインテリアで統一されています。
個室の設計には「ミサワホーム」が携わり、JRと住宅メーカーという異業種コラボレーションが実現。
「M-Wood」という製品を全面に使用して、まるで新築住宅の一室をそのまま寝台個室にしたかのようです。

「走るシティホテル」を実現化させたサンライズエクスプレス。
「瀬戸」号・「出雲」号以外の寝台列車へ投入、さらなる「サンライズ・ネットワーク」拡充に期待が掛かります。


−285系「サンライズエクスプレス」 デザインコンセプト−

トータルコンセプト
寝台列車の新しい時代の夜明け
幕板部:モーニング・グロウ・レッド(朝焼けの高貴な赤)
エクステリアテーマ
目覚めの鳥のさえずりのようなやさしさ
ベース:モーニング・ミスト・ベージュ(朝靄)
インテリアテーマ
木の温もり・落ち着きと安らぎ
ライン:サンライズ・ゴールド(日の出の地平線)







A寝台1人用個室 シングルデラックス
A寝台1人用個室 シングルデラックス












「寝台特急・あさかぜ」から始まる東海道ブルトレには、歴代特急全てに「A寝台個室」が連結されてきました。
この「サンライズエクスプレス」も、その血筋を引き継いで「A寝台個室。シングルデラックス」が連結されています。
時代は20世紀から21世紀へ。ブルトレも進化し、「シングルデラックス」のスタイルも大きく進化しました。

このA個室は2階建て付随車の2階部分に位置し、その静寂さは「サンライズエクスプレス」の数ある個室の中でもピカイチ。
「瀬戸」・「出雲」編成にそれぞれ6室が設置され、個室番号21・22・23が禁煙室に、24・25・26番が喫煙室になっています。
特に「禁煙室」は人気が高いので、乗車が決まったら早めに個室寝台券を手配されることをお勧めします。

個室内にはベッド・洗面台・ライティングデスクが機能的に配置されていて、かなりの広さ。
ベッドは1,960mm×850mmで、一晩を寝るには充分な大きさ。掛け布団は羽毛がセットされています。
洗面台は温冷選択が可能。シンクがやや浅く水ハネしますが、ベーシン周りに余裕があるのであまり気になりません。
デスクはちょっとした書斎のようで、出張移動時にちょっと資料製作を・・・なんて時には重宝しそう。
ここまで大きめのデスクがあると、LAN接続によるネット環境整備に期待が掛かりますね。

空調・照明・音響などのコントロールパネルは全てベッドサイドに集約。
液晶テレビでは「NHK衛星第一」「NHK衛星第二」「WOWWOW」が受信可能です。
テレビ台座は自由自在に可動するので、ベッドに寝ながら衛星放送を楽しむこともできます。
しかし、走行しながらの衛星受信では場所によって受信状態が悪く、放映が中断することもあります。

A個室利用者には、シャワーカードが1枚とアメニティキットが配布されます。
その内容は一晩の乗車では充分すぎるほどに豊富。A個室専用のシャワー室が車端部に設置されています。








B寝台1人用個室 シングル
B寝台1人用個室 シングル












サンライズエクスプレスの登場とともに誕生したB寝台1人用個室「シングル」。
今までは1人用個室といえば「ソロ」が主流でしたが、「シングル」はそれよりワンランク上の個室の位置付け。
「ソロ」との料金差は約1,000円ですが、個室内の大きさ・居住空間は「ソロ」と比べてズバ抜けて良くなっています。

この「シングル」は、「サンライズエクスプレス」編成内の個室のの大半を占めています。
個室の位置によって「階上室(2階部分)」「階下室(1階部分)」「平屋室(車端部平屋部分)」の3タイプ。
各タイプとも室内の設備は共通で、ベッドの大きさも1,960mm×700mmで同じサイズとなっています。

室内はほぼ全体がベッドとなるような感じで、壁際に小さなカウンターデスクとカップホルダー、姿見鏡を装備。
BGMにはNHK-FMラジオが室内放送可能で、イヤホンジャックもコントロールパネルに設置されています。

階上室・階下室とも個室の高さは約1800mm。大人でも無理なく立ち上がることができるのが「ソロ」との大きな違いです。
一部車両の車端部にある平屋室は、室内が完全にスクエアな形状で天井も300mmほど高いので広々としています。
平屋室は、1・8号車の1番、2・6・9・13号車の13番と14番、5・12号車の11番と12番、7・14号車の11番です。

大きな窓が魅力の「階上室」。揺れの少ない「階下室」。天井の高い「平屋室」。
「サンライズエクスプレス」の「シングル」利用時は、好みに合わせてぜひ窓口で指名買いしてみてはいかがでしょう?







B寝台1人用(2人用)個室 シングルツイン B寝台2人用個室 サンライズツイン
B寝台1人用(2人用)個室「シングルツイン」 / B寝台2人用個室「サンライズツイン」
    
    




「シングルツイン」は、1人でも2人でも使えるように設計された個室。
「シングル」とほぼ同じ床面積の室内に、ベッドが2段に設置されています。
上段は「補助ベッド」という位置付けで、1人利用の時は窓方向に跳ね上げて収納することができます。
さらに下段ベッドは簡易ソファーにすることもできます。

2号車と9号車の1番個室は車椅子対応の「シングルツイン」。
個室ドアの間口が大きく取られ、室内面積も一般室より広くなっています。
下段ベッドの一部が跳ね上げ式になっていて、車椅子での取り回し空間を確保しているほか、
車椅子対応サニタリを個室のすぐ目の前に設けていて、車椅子での移動を容易にしています。

B寝台2人用個室といえば「デュエット」ですが、「サンライズエクスプレス」では全く新しい2人用個室が登場。
その名も「サンライズツイン」で、「シングルデラックス」のある2階建車両の階下室に設定されています。
カギ型空間の「デュエット」に対して、こちらは真四角に近い空間構成。室内の広さもグンとワイドに。
レール方向にベッドを平行に設置。ベッドサイズは1,960mm×750mmで「シングル」より若干大きめです。
「瀬戸」・「出雲」編成にそれぞれ4室が設置され、個室番号1・2番が禁煙室、3・4番が喫煙室になっています。








B寝台1人用個室 ソロ
B寝台1人用個室 ソロ






3号車と10号車は、モーターを積んだ車両なので2階建構造にすることができず、
そのため、従来の工法で寝台個室を構成することができる「ソロ」の設定に白羽の矢が立てられました。

多種の「ソロ」の中で、「サンライズ」では階段を上段個室内に抱え込んだタイプを採用。
このタイプの大きな特徴でもある、階段部分の覆いが下段個室内に大きく張り出しています。
ベッドサイズは基本が1,960mm×700mmですが、一番狭くなる部分では幅が560mmまで狭まります。
上段では階段部分でなんとか立ち上がることができますが、下段では立ち上がることはできません。

「瀬戸」・「出雲」編成にそれぞれ20室が設置され、奇数番号が下段個室、偶数番号が上段個室になっています。
「シングル」よりも1,000円ほど安い料金設定。意外と人気があり、平日でもけっこう埋まっていることが多いです。







ノビノビ座席
普通車指定席 ノビノビ座席









「カーペットカー」を進化させた「ノビノビ座席」。「座席」とはいえ、完全に横になって寝る事ができます。
この「ノビノビ座席」は寝台特急ながら、寝台料金不用。指定席特急料金と乗車券だけで乗車可能です。
リーズナブルに長距離移動できるとあって、繁忙期はもちろん、閑散期でもかなりの高稼動を誇ります。

車内は上段と下段の2段構成。上段へは通路からハシゴで上がります。
隣りの区画とは簡単な仕切りで区切られ、頭部分だけが完全に仕切られています。
窓側にはメイン照明とスポット読書灯、カップホルダー付きの小さなテーブルを設置。
掛け布団として、簡単な肌掛けが1枚提供されます。枕はないので、旅行用の空気マクラの持ち込みがお勧めです。
(以前に車内販売されていた「サンライズエクスプレス特製エアクッション」は、現在販売終了となっています。)

当然ながら床面はそれなりに固いです。さらに下段は、床下からのモーター音が響きます。
また上下段とも、頭の直上に空調の吹き出し口があるので、喉をやられないように気をつけましょう。







ミニサロン シャワー室
ミニサロン/シャワーブース




    

3号車と10号車には、共用のくつろぎスペース「ミニサロン」があります。
カウンターにステンレス製のスツールが合計で8脚。「ミニ」という名の通りホントにささやかなスペースです。
ただ「ソロ」「シングル」の利用者にとっては、のびのびと息抜きや飲食ができる貴重なスペース。
大きな窓も魅力的で、早朝の朝焼けや朝日の眩しい瀬戸内海を眺めながらボンヤリするのも列車の旅ならではです。
このスペースの一角に飲料の自動販売機があります。ソフトドリンクのみでアルコール飲料はありません。
下り「サンライズ出雲」号は岡山−新見間で、このサロンコーナーでお弁当の車内販売が行われます。

「シャワー室」がミニサロンの隣りにあります。
シャワーカードを車掌さんから購入して(1枚300円)利用しますが、カードは瀬戸・出雲編成それぞれ20枚の限定販売です。
(これは給水タンクの容量から換算してこれだけの人数と決められている)

シャワーの給湯時間は6分間。時間予約制ではないので、他の人が使っていると待たなければなりません。
シャワー室にはボディーソープとシャンプーが、脱衣スペースにはドライヤー・ゴミ箱・着替えカゴが備え付けられています。
車内では200円の「タオルセット」を車掌さんが販売しています。






洗面台/トイレ デッキ コックピット







    




    



各車両のデッキには、洗面台とトイレがあります。トイレは「洋式」「和式」を設置。男性用個室はありません。
全体的に「サンダーバード」「はるか」といったJR西日本の新型特急と共通のデザインになっています。
車椅子対応のスペースは、ハンディキャップルームのある2号車と9号車に集約。
寝台個室からわずかな移動でトイレと洗面台に辿りつけるように工夫されています。

各車両とも、通路ドア上部に電光情報表示板を設置。ニュースなどは流れませんが、停車駅などが案内表示されます。
車椅子対応設備のある2号車と9号車のデッキドアは、ドア幅が広い設計となっています。

「瀬戸」編成と「出雲」編成は貫通路で行き来することができます。



(「シングルデラックス」「シングル」「ソロ」「ノビノビ座席」乗車時に撮影。その他個室は、車掌さんの許可を得て空室で撮影。)





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