デッキと客室の仕切りドアがスーッと開いた瞬間に、 「あぁ、ここは特別な空間なのだ」と分かる、オーシャンアローのグリーン室です。 照明・座席・空間配色。室内全体に漂う「空気」がアッパークラス然としていて、 客室に足を踏み入れる時に込み上げる緊張感を、久々に味合わせてくれました。 座席配置は2+1の3アブレスト。JR北海道の新型気動車特急のように、空間中ほどで2-1配置が逆転します。 1D〜6D席と6A席が1人掛け。6番で配置逆転で今度は7A〜11A席が1人掛けになります。 ちなみに1号車(新宮向き)がグリーン車なら、1番が最前列展望席。 9号車(京都向き)がグリーン車なら、11番が最前列展望席となります。 シートピッチは1,160mmで、JR特急の標準グリーン席ピッチ数値です。 ゴージャスな雰囲気の空間とは裏腹に、座席周りの付帯装備は実にシンプル。 テーブルはインアームのみを装備。オーディオや液晶テレビ装置は無く、頭上には読書灯のみ。 フットレストも開いた状態でしか使えず、靴のまま載せられる面がありません。 座席の大きさとフカフカにクッションが効いている点だけでしか「特別席」を感じられないのが残念。 天井の照明がスポット照明とポイント間接照明だけなので、夕方頃から室内は暗くムーディな雰囲気に包まれます。 |
「オーシャンアロー」の普通車は奇数号車がブルー系、偶数号車がパープル系でまとめられています。 シートピッチは970mm。明るい雰囲気が漂い、大人の雰囲気で仕上げられた北陸特急「サンダーバード」とは好対照です。 座席はフリーストップリクライニングシートで、全体的にいい意味でも悪い意味でも「軽快」な感じ。 多少の「重量感」も感じられず、おそらく振り子車のために、実際に相当の軽量化が図られているのではないでしょうか。 バックレストはかなり薄く、身体をもたれた時にギリギリ体重を支えている感じがよく分かります。 通路を行く人が座席グリップを握った時、そっちに重心が持っていかれるあたり、この座席の「軽さ」がよく分かります。 テーブルはインアーム式のみで、背面収納テーブルは装備されていません。 おそらくは、座席を向かい合わせたグループ利用をメインに想定しているのと、「軽量化」の一環ではないかと。 実際に走行中の着座してみての感想では、可もなく不可もなくといったところ。 おそらく万人受けするものに仕上がっているのではないでしょうか。 ただ、「リゾート特化型特急」と会社が謳っているほどのアグレッシブさがないところは残念です。 |
6両で組成される基本編成の3号車には、展望ラウンジコーナーがあります。 食堂車やビュッフェ・サロンコーナーなどが消え行く中で、このようなフリースペースは、いまや珍しい設備。 客室をわざわざ割いて、定員外のこうしたスペースを設けているあたり、 JR西日本が「オーシャンアロー」を特別なものとして生み出したことが分かるようです。 ソファーとスツールは全て一方を向いていて、これは紀勢線に入ると海側を望める仕掛けとなっています。 スツール側にはカウンターテーブルの下の裾部にも窓ガラスが嵌め込まれていて、これがなかなかスリリング。 京都から新宮まで乗り通すと結構な乗車時間となるので、このような息抜きスペースはやはり貴重です。 |
サニタリースペースは2両に1ヶ所の割合で設置。JR西日本の新型特急テイストで仕上げられています。 そんな中で洗面台のカガミに埋め込まれた照明が、ややリゾート風味。 他車種ではスクエアドットなのに対し、「オーシャンアロー」では丸みのある菱形を組み合わせたものになっています。 車椅子対応の個室と多目的室は、車椅子対応席が設置されている4号車に。 1号車・6号車・9号車の一部個室は「女性専用」となっています。 |
直線的だけど、ベージュとの壁とスポット照明で「温かみ」が感じられるのはJR西日本の新型特急ならでは。 電話コーナーは1号車・4号車・7号車に。うち4号車のは車椅子利用者を考慮して設置位置が低めになっています。 飲料の自販機は3号車(ラウンジ内)・6号車・9号車にあります。 |
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2号車のサニタリスペースに隣接して、ひっそりと荷物収納スペースがあります。 おそらくは設計上の空きスペースを活用しただけのものと思われます。 ゴルフバッグやサーフボードなど大型の荷物はこちらへどうぞ。 (ピクトグラムにはスキー板が描かれていますが、まさかそういった利用はあるまい・・・・(笑)) |
1号車のグリーン車最前列展望席からは運転席がよく見えます。 一方貫通型先頭車の場合は、客室と運転室は完全に仕切られていて、残念ながら展望は一切望めません。 |