経年劣化の進む房総地区の183系置き換えと、観光客誘致の起爆剤として1993年に登場。 車体構造を253系「成田エクスプレス」と共通化させ、製作コストの軽減化を図っています。 インテリアは「ハイブリッドモビリティ」をコンセプトとして、ビジネスとリゾートのどちらにも対応できる車両作りを目指しています。 この255系は全体で5編成の製造に止まり、10年の時を隔てて房総特急の新型化はE257系500番台へと移行されました。 |
651系〜251系〜253系とJR東日本の新型特急では、グリーン車を大型シートの3列配置で展開してきましたが、 255系では国鉄特急時代の4列配置に戻ってしまいました。 (開発時に、過去の利用実績でグリーン席の定員確保が必須と判断され、183系同様の4列配置に決まったそうです) さて、いつの時代の利用実績をふまえてのグリーン客室開発が行われたのかは分かりませんが、 インテリアカラーコードを普通車と共通化(統一化)させてしまったため、雰囲気からして普通車との格差が見られません。 シートサイズはもちろん普通車のそれに比べて広く大きく、シートピッチも1,160mmを確保していますが・・・・ こう、なんというか「積極的に乗りたい!」と思わせるものが皆無なのが実の感想です。 全席にインアームテーブルを装備していますが、ビジネスマンが書類を広げたりするのを考慮して、 背面折り畳み収納の大型テーブルも装備しています。 車内中央にアクリル製のパーテーションがありますが、これは登場当時に客室を喫煙/禁煙と分煙させていた名残り。 現在はこのグリーン席を含め、房総特急は普通車も全て禁煙席となっています。 「房総ビュー」からグリーン車におけるAV・ドリンク・貸し出し毛布などの一切のサービスは廃されました。 座席は「偏心回転機構」という、なにやらスゴそうな機構を備えています。 『4列座席になったけど、幅広ワイドな座席は装備したい。でもそうすると通路の幅が狭くなっちゃう…』 というJR東日本のわがままを叶えてしまったのがこの機構。 座席を回転させる際に座席本体が通路側にちょっとスライドして回転することで 座席と壁側の隙間を最大限狭くして、通路幅を確保する事に成功しました。 が、気をつけないとスライドした座席で足のスネを激打ちするので、座席回転の際はご注意を。 「ビューさざなみ」「ビューわかしお」の頃は、リネンに「VIEW」ロゴの入った専用なものを使っていましたが、 現在は真っ白なものになり、以前のような客室全体がブルー系で統一された雰囲気はなくなりました。 |
間接照明の天井と、スクエアな印象のシート。普通車客室はとても奥行き間のある直線的なイメージを受けます。 座席はJR東日本の特急としては初めて、全席にインアームテーブルを装備。 座席を向かい合わせにしてお弁当などを広げることが多いレジャーユースに配慮しての結果です。 シートピッチは970mm。この車輌で特徴的なのが床面で、エンボスの塩ビシートが一面に敷かれています。 釣りやサーフィン帰りの乗客が車内に海水を持ちこんでも容易に拭き取りができて、 メンテナンスも簡単に行えることを目指しています。 荷棚下の読書灯は2次車から設置。1次車には読書灯は設置されていませんでした。 通常ですと、1次車で設置したものの利用率が低くて2次車では撤去・・・ということが多いのですが、 この255系の間接照明はとてつもなく暗く、東京駅地下ホーム停車中や夜間走行時などには、 この読書灯無しでは手元の本を読むのに苦慮するくらいに車内が薄暗いです。 座席台座にはフットレスト・バーが設けられ、普通車としてのグレードを上げていますが、 残念ながらこの255系以降の新製特急型車輌には採用されてはいません。 ちなみにこのフットレスト・バーは清掃時の利便性を考慮して、2次車から上に跳ね上げられるようになっています。 255系は253系「成田エクスプレス」と共通の車体断面(コンター)を流用していることから、 窓の開口部を大きく広げることができず、253系よりも窓を100mm(!)大きくしているとはいえ、 「房総ビューエクスプレス」という愛称を名乗るほどその「眺望」は大したことありません。 (2次車ではさらに窓寸法を限界まで拡大させていますが、それでも格段「大きい」という印象はありません) 余談ですが、ジャガードの織込みシートモケットは、 普通車は「わかしお」、グリーン車は「さざなみ」という工業製品名の付いたものを使用しています。 |
| | | |
| |