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房総エリアでは、国鉄型の183系電車が長年活躍していましたが、 |
房総半島内では、高速道路の延伸と東京湾横断道路の工事が進んでいました。 近い将来、マイカーや高速バスは大きな脅威となるのは明らかな状況です。 そこで、JR東日本では先手を打つ形で房総特急への新型車両投入を決定。 所要時間の短縮と快適な居住性、新車による房総のイメージアップが大きな目標です。 1991年に登場した253系を基本とした設計で開発を進め、1993年に新型車両255系が登場。 房総特急の利用客は、平日はビジネス、週末や連休はレジャーと客層が大きく異なるのが特徴。 この相反する用途をどちらも満足させる、難しい課題に挑んで開発が行われました。 1993年7月に「ビューわかしお」「ビューさざなみ」各2往復と朝夕の通勤特急でデビュー。 1994年には増備編成が3本デビューし、運転本数も倍増となりました。 しかし、1997年に東京湾アクアラインが開業すると、状況は一変。 海底トンネル経由の高速バスの所要時間・運賃ともに、房総特急は全く歯が立たず利用客は年々減少。 2005年には、255系は外房・内房線から総武本線の特急「しおさい」へとコンバートされていきます。 2024年3月のダイヤ改正で、255系は定期列車としての運行をほぼ終了。 全5編成中の4編成がすでに廃車解体され、2025年8月現在で1編成が波動用として在籍しています。 1993年 グッドデザイン賞受賞 1994年 ブルネル賞奨励賞受賞 エクステリア・インテリアデザイン:GK Design Group, Inc. (撮影時期:2002年・2002年・2006年・2010年・2016年) |
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651系〜251系〜253系とJR東日本の新型特急では、グリーン車を大型シートの3列配置で展開してきましたが、 255系では国鉄特急時代の4列配置に戻ってしまいました。 (開発時に、過去の利用実績でグリーン席の定員確保が必須と判断され、183系同様の4列配置に決まったそうです) さて、いつの時代の利用実績をふまえてのグリーン客室開発が行われたのかは分かりませんが、 インテリアカラーコードを普通車と共通化(統一化)させてしまったため、雰囲気からして普通車との格差が見られません。 シートサイズはもちろん普通車のそれに比べて広く大きく、シートピッチも1,160mmを確保していますが・・・・ こう、なんというか「積極的に乗りたい!」と思わせるものが皆無なのが実の感想です。 全席にインアームテーブルを装備していますが、ビジネスマンが書類を広げたりするのを考慮して、 背面折り畳み収納の大型テーブルも装備しています。 車内中央にアクリル製のパーテーションがありますが、これは登場当時に客室を喫煙/禁煙と分煙させていた名残り。 現在はこのグリーン席を含め、房総特急は普通車も全て禁煙席となっています。 「房総ビュー」からグリーン車におけるAV・ドリンク・貸し出し毛布などの一切のサービスは廃されました。 座席は「偏心回転機構」という、なにやらスゴそうな機構を備えています。 『4列座席になったけど、幅広ワイドな座席は装備したい。でもそうすると通路の幅が狭くなっちゃう…』 というJR東日本のわがままを叶えてしまったのがこの機構。 座席を回転させる際に座席本体が通路側にちょっとスライドして回転することで 座席と壁側の隙間を最大限狭くして、通路幅を確保する事に成功しました。 が、気をつけないとスライドした座席で足のスネを激打ちするので、座席回転の際はご注意を。 「ビューさざなみ」「ビューわかしお」の頃は、リネンに「VIEW」ロゴの入った専用なものを使っていましたが、 現在は真っ白なものになり、以前のような客室全体がブルー系で統一された雰囲気はなくなりました。 |
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間接照明の天井と、スクエアな印象のシート。普通車客室はとても奥行き間のある直線的なイメージを受けます。 座席はJR東日本の特急としては初めて、全席にインアームテーブルを装備。 座席を向かい合わせにしてお弁当などを広げることが多いレジャーユースに配慮しての結果です。 シートピッチは970mm。この車輌で特徴的なのが床面で、エンボスの塩ビシートが一面に敷かれています。 釣りやサーフィン帰りの乗客が車内に海水を持ちこんでも容易に拭き取りができて、 メンテナンスも簡単に行えることを目指しています。 荷棚下の読書灯は2次車から設置。1次車には読書灯は設置されていませんでした。 通常ですと、1次車で設置したものの利用率が低くて2次車では撤去・・・ということが多いのですが、 この255系の間接照明はとてつもなく暗く、東京駅地下ホーム停車中や夜間走行時などには、 この読書灯無しでは手元の本を読むのに苦慮するくらいに車内が薄暗いです。 座席台座にはフットレスト・バーが設けられ、普通車としてのグレードを上げていますが、 残念ながらこの255系以降の新製特急型車輌には採用されてはいません。 ちなみにこのフットレスト・バーは清掃時の利便性を考慮して、2次車から上に跳ね上げられるようになっています。 255系は253系「成田エクスプレス」と共通の車体断面(コンター)を流用していることから、 窓の開口部を大きく広げることができず、253系よりも窓を100mm(!)大きくしているとはいえ、 「房総ビューエクスプレス」という愛称を名乗るほどその「眺望」は大したことありません。 (2次車ではさらに窓寸法を限界まで拡大させていますが、それでも格段「大きい」という印象はありません) 余談ですが、ジャガードの織込みシートモケットは、 普通車は「わかしお」、グリーン車は「さざなみ」という工業製品名の付いたものを使用しています。 |
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個室は全て洋式で、別に男性用個室を併設しています。 男性用個室は一面がブルーで、テーマは「深海」(笑) ドアを開けた瞬間はかなりビックリします。 洗面台は普通車が通路側を向いた方向に、グリーン車は「成田エクスプレス」タイプのが設置されています。 車椅子対応の個室は5号車に。折り畳み収納式のベビーベッドが設置されています。 |
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5号車には多目的室が用意されています。車椅子対応の席やサニタリーは全て、この5号車に集約されています。 「荷物置き場」が豊富な房総ビューエクスプレス。 はじめからサーフボードやゴルフバッグの収納を目的として作られたスペースは、天地のその大きさに驚きです。 デッキのゴミ箱上も荷物置き場となっていますが、釣り客のクーラーボックス置き場を想定しているそうです。 ただ、これらのバゲーススペースは全てデッキにあり、客室から全く目が届かないのが残念。 グリーン車のバゲージスペースは客室とデッキの間にあり、「スーパーひたち」タイプの荷物置き場になっています。 「VIEW」ロゴが大胆な自動販売機は3号車と8号車に。電話ブースは4号車に設置されています。 電話ブースの電話機は、乗降ドアの方を向いて設置され、他では見られない独特な造りになっています。 (ちなみに電話は、登場時には3号車と8号車にもありましたが現在は撤去されています。) 通路に向かって、まるで商店のようなシャッターが下りているのは「車内販売準備室」。 運転台直後のデッキは、展望デッキを意識した作りになっていて、その眺めはなかなか良好です。 |