2006年3月から始まったJR東日本と東武鉄道の特急列車直通運転。JR担当車両には485系の改造車が充てられてきました。 内装・外観ともにリニューアルされた485系でしたが、東武担当の「スペーシア」の豪華さに肩を並べるレベルとは言えず・・・。 そこで、「成田エクスプレス」への新型車投入によって余剰となる253系に白羽の矢が立てられました。 「成田エクスプレス」へ2002年に導入された、経年の浅い5次増備編成が日光・鬼怒川特急向けに大改装が行われました。 2011年4月からこの253系車両が投入される予定でしたが、東日本大震災の影響で東武直通運転そのものが運転休止に。 予定から遅れること2ヶ月後の、2011年6月から485系に替わって253系リニューアル編成での運転が開始されました。 ボディーを彩る赤と朱は、日光のシンボルである二社一寺(日光東照宮・日光山輪王寺・日光二荒山神社)や神橋を表現。 その真ん中に走る黄色のラインは、大自然の中の日光キスゲや美しい紅葉のイメージとなっています。 |
253系200番台(N'EX向け5次増備編成)6両編成がそのまま、日光・鬼怒川特急へと生まれ変わりました。 「成田エクスプレス」時代は6号車がグリーン車でしたが、現在は6両全てが普通車となっています。 座席は、成田エクスプレス時代のものを全て取り払い、新規製作の腰掛が設置されています。 シートカラーに2色を設定し、奇数号車はレンゲツツジや紅葉をイメージした橙色、偶数号車は華厳の滝や中禅寺湖イメージの青色。 両極にある色設定なので、奇数号車と偶数号車ではまったく別の列車のような雰囲気となっています。 シートピッチは、東武特急「スペーシア」に合わせた1,100mmの広さを確保。 従来から普通車であった1号車〜5号車は、窓割が1,020mmピッチ時代のままなので、窓割と座席位置が豪快にズレる結果に。 また、以前に荷物収納スペースだったところを改造した区画は、戸袋窓+小窓があてがわれる非常にガッカリな席に。 (1号車は12番列、2〜5号車は1番列が改造戸袋窓に当たるガッカリ区画となっています) 車椅子対応席は、2号車の新宿方に2席が用意されています。 元・グリーン車であった6号車は、従来からの窓割が今回の改造の1,100mmに近い数値だったためか、 改造後は窓割にあわせて腰掛が設置されたので、6号車だけは窓割と座席配置がきれいに揃っています。 外側肘掛の先端には、回転収納式の小型テーブルが装備され、腰掛を向かい合わせにしてもテーブルが使えるようになっています。 リクライニングは背ずりだけが倒れ、485系時代にあった座面のスライド機構は廃止されています。 座席背面には収納テーブル、マガジンポケット、ドリンクホルダーを装備。 このあたりの見付けは、すでにJR東日本の特急ではお馴染みとなっています。 「成田エクスプレス」では側面窓がスモークガラスで車内が薄暗い雰囲気でしたが、今回の改造で窓ガラスを交換。 窓の外の光が車内に差し込んでくる、明るい雰囲気へと一新されました。 しかし、窓そのものの大きさを広げるのは車体構造的に無理だったのか、従来からの横に細長いスタイルのまま。 そのため、腰掛けて窓の外を眺めると、非常に窓の位置が腰高に感じます。 デッキ仕切りドア上部には、N'EX時代からの2段スクロール表示の電光案内装置を設置。 上段に日本語で、下段には英語で列車案内が流れます。ちなみに、車内の自動放送は日本語・英語のほか中国語・韓国語もカバー。 定期運転の列車では、新宿−日光・鬼怒川温泉間の全区間でNREの車内販売が乗務。 各座席のマガジンポケットには、車内販売メニューが備え付けられています。 |
サニタリースペースは、2号車・4号車の新宿方と、6号車の日光方にそれぞれ設置されています。 2号車は電動車椅子に対応の広いスペースを確保した大型トイレと間口の広い洗面台と男性用トイレ。 4号車には男女兼用の洋式トイレと男性用トイレと洗面室、6号車には男女兼用洋式トイレと洗面室で、それぞれ構成されています。 このほか、今回の改造では「成田エクスプレス」時代には無かったユーティリティスペースが数多く設置されています。 かつての大型に持つ置き場を改造した「パウダーコーナー」が3・4・5号車の新宿方に。 大きな鏡と小物置き場を備え、化粧直しや下車前の身だしなみチェックなどに使える便利なスペース。 1号車・5号車・6号車には、日光・鬼怒川の観光情報パンフレットを設置した「インフォメーションコーナー」が。 2号車には着替えや赤ちゃんへの授乳、気分が悪い時の休憩スペースとして「多目的室」が設置されています。 また、同じく2号車の新宿方デッキには、自動体外式除細動器(AED)も設置されました。 6号車の運転席寄りにあった「グリーン個室」は、車内販売準備室へと改造されました。 |