まさに「キング オブ シンカンセン“グリーン”」たる、堂々の佇まいです。 100系が「ひかり」専用であった頃、そしてまだ「のぞみ」が無かった頃のこのグリーン車は 日本の政財界の大物たちとエリートビジネスマンの、文字通り「重役席」だったことでしょう。 2階とはいっても天井も低くはなく、縦にも横にも空間的な圧迫感を感じることはほとんどありません。 間接照明も柔らかい光で、走行音も響かないので落ち着いた静かな空間です。 ピッチ1,160mmで展開する座席は、JR化後に次々と登場する大型のハイバックシートと比べるとやや小さめ。 これは、やはり天井方向への狭さを感じさせないためにこの大きさになったのでしょう。 といっても、ドッシリした安定感のある作りは、 近年のベラボーに軽くて安っちいグリーン席とは比べ物になりません。 座席周りの付帯設備は、フットレスト・インアームテーブル・背面テーブル、 それとオーディオサービス用のコントロールパネル。 オーディオサービスは末期の「こだま」運用の頃も続けられていました。 さらにシート背面のマガジンポケットにはJR東海のビジネス誌「WEDGE」とオーディオサービスの番組表。 オーディオサービスを楽しむにはイヤホンが必要ですが、車内での貸し出しは行われていなかったようです。 客室の階段脇には有効幅の関係から1人掛けの座席が存在します。 これがまた「奥まった場所」という位置からしてブッチギリのプライベート感。 もちろんヘビーユーザーの指名ナンバーワンであったことは書くまでも無いですね。 ちなみに東京寄り車端部には、グリーン車専用の電話室があります。 この電話室の手前にも1人掛けの座席がありますが、ここは人の動きによっては落ち着かない席だったかも。 日本の鉄道アコモデーションのあり方を大きく塗り替えた、歴史的価値も高い車輌ですが、 JR東海・西日本とも保存車はないようで(2階建て食堂車は両社とも1両ずつを保存している模様)、 ちょっと残念です。 |
平屋建てのグリーン車は「喫煙車」。喫煙グリーン席をリクエストすると自動的にこの車輌に割り振られます。 ローズブラウン系で明るめのモケットで、2階建て車の雰囲気とはずいぶん異なります。 タバコの「ヤニ」が染み込んでしまっても、モケットの変色が隠せるということでこの色が採用されているのでしょう。 実際、末期でも喫煙車のヤニ汚れは気になりませんでした。(匂いはタバコ臭かったですけど) 座席自体は、2階建て車輌の座席と同じです。 オーディオパネルも同一のもの。 |
芸能人と政治家の要望によって生まれたという噂がいまだ絶えない100系新幹線の「個室」です。 X編成は1・2・3人用個室を、G編成は1・2・3・4人用個室がそれぞれ設定されていました。 1人用個室には電動リクライニングのチェアーと大き目のライティングデスク。 このリクライニングチェアーはほぼフルフラットな状態まで倒すことができます。 リクライニング操作のコントロールパネルが画像のように別パーツになっているのは初期の車輌。 G編成の後期車になると、座席の肘掛内側にビルトインされたスタイルに変更されました。 |
(2人用個室) (2人用個室) (2人用個室) (2人用個室) (2人用個室) (3人用個室) (3人用個室) (3人用個室) (3人用個室) |
2人用個室と3人用個室はテーブルを挟んでソファーが向かい合ってセットされています。 どことなくそっけない雰囲気ではありますが、ここは実用本位といったところでしょうか。 インテリアのカラーコードが寒色系なので、ちょっと寒々とした感じですね。 室内は空間にかなり余裕があり、かなりの荷物を持ち込んでも問題なさそうです。 ちなみにこのソファーは「簡易リクライニング」のスタイルでリクライニングさせることができます。 (もちろんリクライニングストッパー機能つきです。) |
(4人用個室) (4人用個室) (4人用個室) (4人用個室) (4人用個室) (4人用個室) (4人用個室) |
4人用個室は大型ソファーが設置されていて、現在の昼行列車の「個室」のスタンダードスタイルに。 ソファーのセンターアームレストは収納式なので、ゴロッと横になって寝ることもできそうです。 テーブルはソファーの左右肘掛にインアーム式のものと、それとは別に小型テーブルが収納されています。 ちなみにこのソファーもせり出し式でリクライニングが可能。 共通の設備としてオーディオサービスのコントロールパネルと食堂車(カフェテリア)へ直通のインターフォン、 時計と照明のON/OFFスイッチがパネル内に集約されています。 コンセントはG編成の後期型にやっと設置されたました。 個室の錠はカードキーで、もちろん持ち帰りOK。 JR東海と西日本でデザインが異なり、またかなりの絵柄が発行されたことからレアモノなども存在するようです。 |
もっとも多くの人の目に触れ、利用されるのが「普通車」ですが、 それまでの0系のアコモから大きく飛躍してレベルアップしたのがこの「普通車」ではないでしょうか。 全席フリーストップリクライニングとなり、3列席も回転が可能となりました。 この「3列席も回転する」というのが当時は大きなエポックメイキングだったようで、かなり大きな話題となったようです。 東海車・西日本車の画像をまとめて載せてしまいましたが、それぞれでモケットの柄に違いがあります。 東海車は細かいチェック模様になっており、ちょっと目がチラチラするかな・・?西日本車はノーマルな1色仕上げ。 両社とも奇数号車は寒色系・偶数号車は暖色系で、モケット色を変えて車内の雰囲気に変化をつけています。 ジャンプ収納式のフットレストはG編成の後期量産車から搭載が開始されました。 晩年近くまで残っていた西日本所属のG編成初期型には、このフットレストがありませんでしたから、 ヘビーユーザーには「あれ?足載せが無い?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。 今こうしてみると、普通車は近年の新幹線車輌に比べるとダンゼンに天井が高いですね。 新幹線車輌の進化とともに、座席もどんどん進化を遂げていますが、 このように頭上方向へゆとりがあるというのは、ある意味座席のゆとり以上の効果があるのかも。 |
(G編成後期型) (G編成西日本車) (G編成前期型) |
G編成8号車の1階はカフェテリアになっています。 ここでは3パターンのインテリアを紹介していますが、 このほかにも別パターンのカラーコードを用いたインテリアが存在していたようです。 同じ設備でもこのような小変化が見られるのは、長年に渡って増備が繰り返された「証」ですね。 広々とした空間に長いショーケースが特徴的ですが、このショーケースいっぱいに商品が陳列されていたのは、 10年にも満たない短い時期だけでした。 晩年の「こだま」運用ではカフェテリア営業列車は全滅。車内販売の準備スペースとなっていました。 |
洗面台は全て「三面鏡」ないし「ニ面鏡」を標準装備。 |
湯温の調整が可能なハンドルも付き、このスタイルの洗面台は このあと在来線特急にも次々に波及していきました。 トイレボールは金属製。この後じきにFRP製のものが登場しましたが、 100系は最終編成までこの金属製のものが搭載され続けたようです。 |
100系新幹線ではほぼ2両おきにデッキに電話が備え付けられています。全て「カード専用」電話機。 デッキ仕切りドアには号車番号が書かれていますが、100系では各車デッキにサニタリーがありますから そうそう編成内を動き回ることは無いので、自分の号車が分からなくなるということはまずないはず。 とすれば、この号車表示は乗客がカフェテリア(食堂車)へ行った帰りに迷わないためのサインとなりますでしょうか。 |